3.気管支鏡にて気道病変の経過を観察できた限局型Wegener肉芽腫の1例(第86回 日本呼吸器内視鏡学会近畿支部会)

症例は62歳男性. 前医に糖尿病治療の目的で入院, 胸部X線, CTで空洞を有する多発性結節影を認めた. 入院2週間後から発熱を認め, 抗生剤を各種投与するが軽快せず当院に転院となる. 気管支鏡で気管分岐部, 右中間幹, 右B 6に周囲に発赤を伴う潰瘍性病変を認めた. 結節影と気道の潰瘍病変の組織を採取したところ毛細血管壁への好中球浸潤, 血管内皮の腫大を認め血管炎の所見であった. PR3-ANCAが陽性であり, 鼻閉があることから鼻腔粘膜を生検したところ, 気道からの生検と同様の所見であった. 腎障害は認めず, 限局型Wegener肉芽腫と診断した. プレドニゾロンとシクロフォスファミドを開...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 32; no. 1; p. 89
Main Authors 加堂, 哲治, 土屋, 貴昭, 大搗, 泰一郎, 大林, 加代子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2010
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.32.1_89_3

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Summary:症例は62歳男性. 前医に糖尿病治療の目的で入院, 胸部X線, CTで空洞を有する多発性結節影を認めた. 入院2週間後から発熱を認め, 抗生剤を各種投与するが軽快せず当院に転院となる. 気管支鏡で気管分岐部, 右中間幹, 右B 6に周囲に発赤を伴う潰瘍性病変を認めた. 結節影と気道の潰瘍病変の組織を採取したところ毛細血管壁への好中球浸潤, 血管内皮の腫大を認め血管炎の所見であった. PR3-ANCAが陽性であり, 鼻閉があることから鼻腔粘膜を生検したところ, 気道からの生検と同様の所見であった. 腎障害は認めず, 限局型Wegener肉芽腫と診断した. プレドニゾロンとシクロフォスファミドを開始したところ, 速やかに解熱を認め, 肺結節影の縮小を認めた. 気管支鏡を再検したところ治療前に認めていた潰瘍性病変は瘢痕化していた. 気管支鏡にて治療前後の経過を追ったWegener肉芽腫の症例を経験したので考察を加えて報告する.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.32.1_89_3