20. Aspergillus nigerが原因と思われる住宅関連過敏性肺炎の1例(第16回日本呼吸器内視鏡学会中国四国支部会)

症例は57歳女性. 3年前から夏に咳がよく出ていた. 2007年6月以降咳が強くなり7月に当科を受診した. 初診時の胸部CTでは両肺野に軽度のスリガラス影を認めた. 抗生剤の内服で症状の改善はなく, また自宅が築30年の木造で風通しも悪いことから夏型過敏性肺炎を疑ったがトリコスポロン抗体は陰性であった. 3週間後に咳の増悪とともに38℃台の発熱と呼吸困難が出現し, CT上もスリガラス影が拡大したため精査加療目的で入院した. 入院後に施行した気管支肺胞洗浄ではリンパ球比率の上昇とCD4/CD8比の低下を認めた. 2か所から採取した自宅の壁からはいずれもAspergillus nigerが検出され...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in気管支学 Vol. 30; no. 3; p. 160
Main Authors 踊場, 朋美, 坂本, 直子, 有田, 浩之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2008
日本呼吸器内視鏡学会
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は57歳女性. 3年前から夏に咳がよく出ていた. 2007年6月以降咳が強くなり7月に当科を受診した. 初診時の胸部CTでは両肺野に軽度のスリガラス影を認めた. 抗生剤の内服で症状の改善はなく, また自宅が築30年の木造で風通しも悪いことから夏型過敏性肺炎を疑ったがトリコスポロン抗体は陰性であった. 3週間後に咳の増悪とともに38℃台の発熱と呼吸困難が出現し, CT上もスリガラス影が拡大したため精査加療目的で入院した. 入院後に施行した気管支肺胞洗浄ではリンパ球比率の上昇とCD4/CD8比の低下を認めた. 2か所から採取した自宅の壁からはいずれもAspergillus nigerが検出された. 入院後数日で臨床症状は著明に改善した. 帰宅誘発試験は陽性であった. 以上の経過より本症例はAspergillus nigerを原因抗原とする住宅関連過敏性肺炎と考えられた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.30.3_160_4