TNF receptor-associated factor 5による免疫制御

「1. はじめに」腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor-alpha:TNF-α)は, 炎症時に産生される代表的なサイトカインであり, 当初, 腫瘍に出血性壊死を引き起こす因子として発見され, 命名された. TNF-αは, 消耗性疾患である悪液質の原因になるカケクチン(cachectin)と同一分子である. TNF-αは, 局所で適切に産生されることで感染を防御し, 生体に有益な作用を示す. 一方で, TNF-αの過剰な産生は有害な作用を惹起し, これが疾患と関連する. TNF-αのこの有益にも有害にも作用し得る, 諸刃の剣に例えられる多機能性は, 2つのTNF受容体, TN...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 144; no. 5; pp. 489 - 496
Main Author 宗, 孝紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.05.2024
日本薬学会
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Summary:「1. はじめに」腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor-alpha:TNF-α)は, 炎症時に産生される代表的なサイトカインであり, 当初, 腫瘍に出血性壊死を引き起こす因子として発見され, 命名された. TNF-αは, 消耗性疾患である悪液質の原因になるカケクチン(cachectin)と同一分子である. TNF-αは, 局所で適切に産生されることで感染を防御し, 生体に有益な作用を示す. 一方で, TNF-αの過剰な産生は有害な作用を惹起し, これが疾患と関連する. TNF-αのこの有益にも有害にも作用し得る, 諸刃の剣に例えられる多機能性は, 2つのTNF受容体, TNFR1及びTNFR2との結合により発現する. TNFR2の細胞内ドメインと相互作用する2つのシグナル因子が同定され, 腫瘍壊死因子受容体関連因子(TNF receptor-associated factor:TRAF)1及びTRAF2と命名された.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.23-00154-3