12.経気管支肺生検にて診断した限局型強皮症に合併したサルコイドーシスの1例(第32回日本呼吸器内視鏡学会九州支部会)

症例は70歳女性. 17年前より限局型強皮症(抗セントロメア抗体陽性)の診断で当院皮膚科通院中であった. 8カ月前の胸部CTにて初めて左下葉にすりガラス影の出現を認めるも, 特に自覚症状なく経過観察されていた. 今回左下葉中心に浸潤影の増強を認め, 精査目的に当科に入院となった. 入院後に再検したCTでは左下葉の陰影の減弱と, 新たに右下葉にすりガラス影の出現を認めた. 間質性肺炎マーカーやACEの上昇は認めなかった. 肺胞洗浄にてリンパ球比45%, CD4/8比5.6と上昇を認めた. TBLBにて類上皮細胞性肉芽腫と多核巨細胞が認められ, サルコイドーシスと診断した. 肺外病変は認めず無治療...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 31; no. 5; pp. 349 - 350
Main Authors 坂本, 憲穂, 由良, 博一, 藤田, 華子, 迎, 寛, 河野, 茂, 原田, 達彦, 雨森, 美里, 石松, 祐二, 林, 徳真吉, 原, 郭子, 原, 信太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2009
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.31.5_349_4

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Summary:症例は70歳女性. 17年前より限局型強皮症(抗セントロメア抗体陽性)の診断で当院皮膚科通院中であった. 8カ月前の胸部CTにて初めて左下葉にすりガラス影の出現を認めるも, 特に自覚症状なく経過観察されていた. 今回左下葉中心に浸潤影の増強を認め, 精査目的に当科に入院となった. 入院後に再検したCTでは左下葉の陰影の減弱と, 新たに右下葉にすりガラス影の出現を認めた. 間質性肺炎マーカーやACEの上昇は認めなかった. 肺胞洗浄にてリンパ球比45%, CD4/8比5.6と上昇を認めた. TBLBにて類上皮細胞性肉芽腫と多核巨細胞が認められ, サルコイドーシスと診断した. 肺外病変は認めず無治療で経過観察することとした. 抗Topo-1抗体陽性の全身性強皮症ではしばしばNSIP, UIPパターンの間質性肺炎を合併することが報告されている. 一方抗セントロメア抗体陽性の限局型強皮症では, 肺病変としては肺高血圧症が多く間質性肺炎の合併は稀とされている. 当症例は臨床経過から当初は膠原病肺を強く疑っていたが, TBLBの組織所見を得て初めてサルコイドーシスと診断できており, 病理学的検索の重要性を認識した1例であった. また膠原病とサルコイドーシスの合併も1~2%程度と稀であり, 貴重な症例と考え, ここに若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.31.5_349_4