脊柱管内くも膜嚢腫手術例の検討

「はじめに」脊柱管内くも膜嚢腫は比較的まれな疾患である. 今回当科にて手術を行った脊柱管内くも膜嚢腫症例の術後成績をretrospectiveに検討した. 対象と方法 平成2年6月から平成13年10月までの11年間に手術を施行した6例を対象とした. 内訳は男性1例, 女性5例で, 手術時年齢は13-72歳(平均48歳)で, 術後経過観察期間は6ヵ月-12年(平均6年3ヵ月)であった. 検討項目は, 1. 嚢腫の局在と高位, 2. 手術方法の内訳, 3. 手術成績(Frankel分類による麻痺の推移で評価), 4. 再発の有無, 5. 手術合併症の5項目とした. 結果嚢腫の局在は, 硬膜外, 硬...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 52; no. 4; pp. 920 - 924
Main Authors 宮里, 聡, 新垣, 勝男, 上原, 邦彦, 當眞, 嗣一, 野原, 博和, 金谷, 文則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2003
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Summary:「はじめに」脊柱管内くも膜嚢腫は比較的まれな疾患である. 今回当科にて手術を行った脊柱管内くも膜嚢腫症例の術後成績をretrospectiveに検討した. 対象と方法 平成2年6月から平成13年10月までの11年間に手術を施行した6例を対象とした. 内訳は男性1例, 女性5例で, 手術時年齢は13-72歳(平均48歳)で, 術後経過観察期間は6ヵ月-12年(平均6年3ヵ月)であった. 検討項目は, 1. 嚢腫の局在と高位, 2. 手術方法の内訳, 3. 手術成績(Frankel分類による麻痺の推移で評価), 4. 再発の有無, 5. 手術合併症の5項目とした. 結果嚢腫の局在は, 硬膜外, 硬膜内がそれぞれ3例で, 硬膜外の1例は背側から腹側, 他の5例は脊髄背側に存在していた. 高位では, 硬膜外嚢腫は胸腰椎移行部から腰椎に, 硬膜内嚢腫は頸椎から上中位胸椎に位置していた(表1). 手術時, 硬膜外嚢腫3例に対し交通茎を確認できた. 2例は茎を結紮し全摘出することができた. 嚢腫が腹側まであった1例では癒着もあり, 背側の茎を結紮し嚢腫の部分摘出にとどまった. 硬膜内嚢腫3例に対しては, 1例に椎弓拡大術と嚢腫の全摘出術を行い, 他の2例は嚢腫の境界が明確に同定できなかったため, 椎弓切除後に可及的に嚢腫壁を切除した.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.52.920