ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドの定量分析におけるqNMRを用いたトレーサビリティの確保

「緒言」アルデヒド類は室内環境における普遍的な汚染物質である. 中でも, ホルムアルデヒドは合成樹脂, 接着剤や防腐剤の原料として広く使用されているほか, 喫煙によって発生することも知られている. また, アセトアルデヒドはエタノールの中間代謝物であり, 呼気として体外に排出されるため, ヒト自体が室内環境での発生源となる. このように, アルデヒド類は日常生活において潜在的な曝露の懸念があり, さらに, 発がんや呼吸器に対する刺激など重大な健康影響を示す化合物も数多く含まれていることから, 室内空気中の濃度を詳細に調査することによって曝露量を精確に評価することが重要である. わが国では室内空...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 138; no. 4; pp. 551 - 557
Main Authors 杉本, 直樹, 五十嵐, 良明, 酒井, 信夫, 香川(田中), 聡子, 田原, 麻衣子, 神野, 透人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.04.2018
日本薬学会
Subjects
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.17-00210

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Summary:「緒言」アルデヒド類は室内環境における普遍的な汚染物質である. 中でも, ホルムアルデヒドは合成樹脂, 接着剤や防腐剤の原料として広く使用されているほか, 喫煙によって発生することも知られている. また, アセトアルデヒドはエタノールの中間代謝物であり, 呼気として体外に排出されるため, ヒト自体が室内環境での発生源となる. このように, アルデヒド類は日常生活において潜在的な曝露の懸念があり, さらに, 発がんや呼吸器に対する刺激など重大な健康影響を示す化合物も数多く含まれていることから, 室内空気中の濃度を詳細に調査することによって曝露量を精確に評価することが重要である. わが国では室内空気汚染と健康被害の防止を目的として厚生労働省がホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドについて室内濃度指針値を策定している. しかし, トレーサビリティの観点からは, かならずしも十分に検証された分析法が確立されているわけではない.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.17-00210