佐渡島南西部においてジムグリの胃内容物から発見されたサドトガリネズミSorex shinto sadonisの初記録
2022年5月11日に佐渡島南西部においてジムグリEuprepiophis conspicillatusの胃内容物からサドトガリネズミSorex shinto sadonisが3個体確認された.本発見は,分布情報をはじめとする生態的な知見が不足している本亜種の新たな生息地を示す重要な報告となった.尚,ジムグリの胃内容物としてトガリネズミ類が発見されたのも初であった.発見場所である佐渡南西部は,先行研究においてその生息が確認されていた大佐渡山地(佐渡北部の山地帯)や小佐渡山地(佐渡南部の山地帯)北東部よりも標高が低い地域であり,植生も大佐渡山地や小佐渡山地北東部の冷温帯林とは異なり,コナラQue...
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Published in | 哺乳類科学 Vol. 63; no. 2; pp. 215 - 218 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本哺乳類学会
2023
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Subjects | |
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ISSN | 0385-437X 1881-526X |
DOI | 10.11238/mammalianscience.63.215 |
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Summary: | 2022年5月11日に佐渡島南西部においてジムグリEuprepiophis conspicillatusの胃内容物からサドトガリネズミSorex shinto sadonisが3個体確認された.本発見は,分布情報をはじめとする生態的な知見が不足している本亜種の新たな生息地を示す重要な報告となった.尚,ジムグリの胃内容物としてトガリネズミ類が発見されたのも初であった.発見場所である佐渡南西部は,先行研究においてその生息が確認されていた大佐渡山地(佐渡北部の山地帯)や小佐渡山地(佐渡南部の山地帯)北東部よりも標高が低い地域であり,植生も大佐渡山地や小佐渡山地北東部の冷温帯林とは異なり,コナラQuercus serrataやヤブツバキCamellia japonicaの優占する温暖な二次林であった.本発見により,サドトガリネズミは300 m程度の二次林でも十分に生息可能であることが示唆された.さらに,今回,齢構成の異なる複数個体が確認されたことから,繁殖可能個体数がその地域に生息していることを示す貴重なデータも同時に得ることができた. |
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ISSN: | 0385-437X 1881-526X |
DOI: | 10.11238/mammalianscience.63.215 |