医療ビッグデータを用いた医薬品の安全性,有効性のエビデンス構築と臨床応用

「1. はじめに」 医療現場においては, 医師, 薬剤師を始めとするメディカルスタッフが日々の診療等を行い, その内容を診療録へ記録している. 例えば, メディカルスタッフが「臨床的な問い」を想起し, 過去の診療録から情報を集めて, 研究としてまとめようとしたとする. その研究はうまくいくだろうか. 当然, 「問い」の内容によって, うまくいく場合と, うまくいかない場合がある. 後者の場合, 例えば類似の背景, 情報を有した患者を, 解析に足りるほど集めることができないことなどに代表される, 後方視的研究の限界点にぶつかることも少なくない. 筆者を含め, 特に薬剤師が実施する後方視的研究にお...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 141; no. 2; pp. 175 - 178
Main Authors 百, 賢二, 安, 武夫, 佐々木, 忠徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.02.2021
日本薬学会
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Summary:「1. はじめに」 医療現場においては, 医師, 薬剤師を始めとするメディカルスタッフが日々の診療等を行い, その内容を診療録へ記録している. 例えば, メディカルスタッフが「臨床的な問い」を想起し, 過去の診療録から情報を集めて, 研究としてまとめようとしたとする. その研究はうまくいくだろうか. 当然, 「問い」の内容によって, うまくいく場合と, うまくいかない場合がある. 後者の場合, 例えば類似の背景, 情報を有した患者を, 解析に足りるほど集めることができないことなどに代表される, 後方視的研究の限界点にぶつかることも少なくない. 筆者を含め, 特に薬剤師が実施する後方視的研究においては, 多くの場合, 単施設(自施設)の診療情報を用いることが多いため, サンプルサイズの観点から悩みが尽きないこともしばしば経験する.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.20-00196-3