景観生態学を野生動物管理に活かす―行政の視点から

野生動物が及ぼす人間社会への影響については, 近年ニュース等のメディアで取り上げられるようになり, 一般にもよく知られた問題となっている. 本特集で取り上げた, ツキノワグマUrsus thibetanusによる人身被害(高畠), イノシシSus scrofa・ニホンザルMacaca fuscataによる農産物被害(大橋, 望月)だけでなく, ニホンジカCervus nippon食害による林床植生の消失, くくり罠へのニホンカモシカCapricornis crispus錯誤捕獲など, これらはいずれも野生動物の生息数自体が増加したことや, これまで生息していなかった地域への野生動物の分布拡大に...

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Published in哺乳類科学 Vol. 61; no. 2; pp. 311 - 313
Main Author 黒江, 美紗子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本哺乳類学会 2021
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Summary:野生動物が及ぼす人間社会への影響については, 近年ニュース等のメディアで取り上げられるようになり, 一般にもよく知られた問題となっている. 本特集で取り上げた, ツキノワグマUrsus thibetanusによる人身被害(高畠), イノシシSus scrofa・ニホンザルMacaca fuscataによる農産物被害(大橋, 望月)だけでなく, ニホンジカCervus nippon食害による林床植生の消失, くくり罠へのニホンカモシカCapricornis crispus錯誤捕獲など, これらはいずれも野生動物の生息数自体が増加したことや, これまで生息していなかった地域への野生動物の分布拡大により生じている全国的な問題である. 多くの野生動物の生息が奥山に限られ, 保護の対象であった時代から, 捕獲や環境整備により人里へ迫る野生動物を何とか遠ざけ, 人間社会との軋轢を減らそうとする時代となった.
ISSN:0385-437X
1881-526X
DOI:10.11238/mammalianscience.61.311