多関節炎を呈したクラミジア感染後反応性関節炎の1例

【症例】25歳男性.半年前より左膝関節痛で近医整形外科に通院していたが,症状改善みられず当科紹介となった.初診時,体温37.8度,左膝の熱感,腫脹があったが血液培養,関節液培養は陰性だった.血液検査ではWBC 10000/μL,CRP 18.4 mg/dLと高値だったがRF,抗CCP抗体,抗核抗体は陰性だった.MRIでは左膝の関節水腫,滑膜増生がみられた.診断,治療目的に行った関節鏡検査ではびまん性の滑膜増生を認めたが,軟骨や靭帯,半月板に異常はなかった.病理所見は非特異的な滑膜炎だった.周術期に両膝関節痛,両足関節痛が出現したため,改めて既往歴を確認すると,関節痛発症前に泌尿器科を受診し,ク...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 73; no. 2; pp. 256 - 259
Main Authors 松田, 倫明, 川畑, 英之, 恒吉, 康弘, 土屋, 太志郎, 中村, 優子, 富村, 奈津子, 古賀, 公明, 吉野, 伸司, 川内, 義久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2024
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Summary:【症例】25歳男性.半年前より左膝関節痛で近医整形外科に通院していたが,症状改善みられず当科紹介となった.初診時,体温37.8度,左膝の熱感,腫脹があったが血液培養,関節液培養は陰性だった.血液検査ではWBC 10000/μL,CRP 18.4 mg/dLと高値だったがRF,抗CCP抗体,抗核抗体は陰性だった.MRIでは左膝の関節水腫,滑膜増生がみられた.診断,治療目的に行った関節鏡検査ではびまん性の滑膜増生を認めたが,軟骨や靭帯,半月板に異常はなかった.病理所見は非特異的な滑膜炎だった.周術期に両膝関節痛,両足関節痛が出現したため,改めて既往歴を確認すると,関節痛発症前に泌尿器科を受診し,クラミジア陽性だったことが判明し,クラミジア感染による反応性関節炎と診断した.リウマチ科へ紹介し,サラゾスルファピリジン開始後,症状改善傾向である.【考察】下肢優位の多関節炎ではリウマチや化膿性関節炎のみならず,反応性関節炎を鑑別に挙げる必要がある.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.73.256