プロテオミクスを基としたGATA4転写因子及び心肥大発症メカニズム解析

「はじめに」 心不全とは心臓のポンプ機能が低下することで様々な臓器への血液供給が低下している病態であり, 先進国を中心に年々増加傾向にある. 心肥大は心不全のリスクファクターの1つであり, これを解決することは医学的に, 社会的に極めて重要である. 個々の心筋細胞は様々な負荷に応じて収縮機能の調節を行っているが, 持続するストレスに対しては心筋細胞が肥大を呈することで対応している. また, 虚血などの細胞障害は心筋細胞の脱落や間質の線維化を誘導し, 残存心筋細胞が肥大を呈することで心機能を補う. しかし, 長期間持続したストレスは肥大による適応反応を破綻させ, 心臓の収縮力の低下, 左室拡張を...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 136; no. 2; pp. 151 - 156
Main Authors 長谷川, 浩二, 砂川, 陽一, 森本, 達也, 和田, 啓道, 刀坂, 泰史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.02.2016
日本薬学会
Subjects
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.15-00226-2

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Summary:「はじめに」 心不全とは心臓のポンプ機能が低下することで様々な臓器への血液供給が低下している病態であり, 先進国を中心に年々増加傾向にある. 心肥大は心不全のリスクファクターの1つであり, これを解決することは医学的に, 社会的に極めて重要である. 個々の心筋細胞は様々な負荷に応じて収縮機能の調節を行っているが, 持続するストレスに対しては心筋細胞が肥大を呈することで対応している. また, 虚血などの細胞障害は心筋細胞の脱落や間質の線維化を誘導し, 残存心筋細胞が肥大を呈することで心機能を補う. しかし, 長期間持続したストレスは肥大による適応反応を破綻させ, 心臓の収縮力の低下, 左室拡張を引き起こし, 最終的に心不全へと至る. 今までの心不全治療薬はβ遮断薬やangiotensin converting enzyme(ACE, アンジオテンシン変換酵素)阻害剤, angiotensin II receptor blocker(ARB, アンジオテンシンII受容体拮抗薬)といった液性因子や細胞膜上の受容体をターゲットとした薬物が用いられてきたが, それでも重症心不全患者の5年生存率は依然低いままであり, 新たな治療薬の開発が求められている.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.15-00226-2