MG重症筋無力症に対する良導絡医療の治効について

原因. 本症の発生原因は従来神経筋接合部におけるアセチールコリン, コリンエステラーゼ間の不均衡によって起るとされていた. 運動神経の興奮が神経筋接合部に達するとアセチールコリンが放出され, そのニコチン作用によって随意筋の収縮が起こるが, ここでは常にコリンエステラーゼがあって, 直ちにアセチールコリンを分解して興奮がおさまる. アセチールコリンと比較して, コリンエステラーゼが多いと筋が充分に刺激されないからであるとされていた. 然るに最近伝達物質と受容物質との研究が旺盛となり, 伝達物質の代謝, 放出, ニューロンの終末部における伝達物質の代謝過程について, また受容物質アセチールコリン...

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Published in日本良導絡自律神経学会雑誌 Vol. 33; no. 10; pp. 271 - 273
Main Author 鈴木, 博助
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本良導絡自律神経学会 1988
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ISSN0913-0977
1884-7595
DOI10.17119/ryodoraku1986.33.271

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Summary:原因. 本症の発生原因は従来神経筋接合部におけるアセチールコリン, コリンエステラーゼ間の不均衡によって起るとされていた. 運動神経の興奮が神経筋接合部に達するとアセチールコリンが放出され, そのニコチン作用によって随意筋の収縮が起こるが, ここでは常にコリンエステラーゼがあって, 直ちにアセチールコリンを分解して興奮がおさまる. アセチールコリンと比較して, コリンエステラーゼが多いと筋が充分に刺激されないからであるとされていた. 然るに最近伝達物質と受容物質との研究が旺盛となり, 伝達物質の代謝, 放出, ニューロンの終末部における伝達物質の代謝過程について, また受容物質アセチールコリン受容体の変化即ち分離によって従来原因不明であった重症筋無力症MGの病態が明らかになった. MG患者の筋の終板部における受容体の数が正常人にくらべて著しく減っていることがわかり, その後の研究で, ほとんどのMGの患者血清中にアセチールコリン受容体の抗体があることが明らかになった.
ISSN:0913-0977
1884-7595
DOI:10.17119/ryodoraku1986.33.271