嚥下性肺炎患者のビデオX線透視検査所見の特徴について

1994年5月より2002年2月までの7年間に,当院呼吸器内科において嚥下性肺炎またはその疑いの診断を受け当科において咽頭X線検査(videofuorography ofthe pharynx.以下VFと略),を施行した61症例を対象として,それらのビデオ画像を嚥下研究会X線透視検査チャートによる評価をもとに解析し誤嚥の病態について検討した,疾患の内訳では,脳血管障害,神経筋疾患が上位を占めるが,なかでも消化管悪性腫瘍術後が16例と全体の25%を占め最も多いのが特徴であった.透視検査にて誤嚥を検出できた38症例(全体の61%)の誤嚥の分類では下降期型誤嚥(下降後誤嚥も含む)が20例で最も多く,...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 107; no. 1; pp. 7 - 11
Main Authors 熊井, 良彦, 鮫島, 靖浩, 湯本, 英二
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 2004
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.107.7

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Summary:1994年5月より2002年2月までの7年間に,当院呼吸器内科において嚥下性肺炎またはその疑いの診断を受け当科において咽頭X線検査(videofuorography ofthe pharynx.以下VFと略),を施行した61症例を対象として,それらのビデオ画像を嚥下研究会X線透視検査チャートによる評価をもとに解析し誤嚥の病態について検討した,疾患の内訳では,脳血管障害,神経筋疾患が上位を占めるが,なかでも消化管悪性腫瘍術後が16例と全体の25%を占め最も多いのが特徴であった.透視検査にて誤嚥を検出できた38症例(全体の61%)の誤嚥の分類では下降期型誤嚥(下降後誤嚥も含む)が20例で最も多く,また程度では程度1が22例と最も多かった.透視検査にて誤嚥を検出できなかった23例の疾患の中では,消化管疾患が全体の約半数の13例で最も多かった.さらにこれらの食道期の所見では9例には,胃食道逆流を示唆する所見が得られた.程度1から3までに該当するクリアランス不良な症例が,全体の半数を占める12例に上った.VFにて,誤嚥を検出できない症例には,クリアランスの不良な症例が含まれ,その原因として,口腔,咽頭内容物を夜間に誤嚥することだけでなく,胃食道逆流現象も大きな割合を占めることが示唆された.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.107.7