頭頸部領域に転移を来した腎細胞癌の3例

腎細胞癌は血流に富み遠隔転移の頻度が高いが, 頭頸部領域への転移は比較的まれである. われわれは大阪大学医学部附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科において過去6年間に頭頸部領域へ後発転移した腎細胞癌の3症例を経験した. 1例目は74歳女性で, 腎癌治療の4年後に左頸部への転移を認め頸部郭清術を施行した. その2年後に膵臓や脊椎, 頸部再発を認めたが, 手術療法や放射線療法により初発転移から約5年間担癌生存した. 2例目は60歳男性で, 腎癌治療の3年後に右耳下腺への転移を認め耳下腺切除術を施行した. 3例目は54歳男性で, 腎癌治療の7年後に右上顎洞への転移を認め上顎全摘術を施行した. 腎細胞癌は原...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 114; no. 11; pp. 864 - 868
Main Authors 西池, 季隆, 山本, 佳史, 富山, 要一郎, 伊藤, 理恵, 喜井, 正士, 猪原, 秀典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 2011
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.114.864

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Summary:腎細胞癌は血流に富み遠隔転移の頻度が高いが, 頭頸部領域への転移は比較的まれである. われわれは大阪大学医学部附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科において過去6年間に頭頸部領域へ後発転移した腎細胞癌の3症例を経験した. 1例目は74歳女性で, 腎癌治療の4年後に左頸部への転移を認め頸部郭清術を施行した. その2年後に膵臓や脊椎, 頸部再発を認めたが, 手術療法や放射線療法により初発転移から約5年間担癌生存した. 2例目は60歳男性で, 腎癌治療の3年後に右耳下腺への転移を認め耳下腺切除術を施行した. 3例目は54歳男性で, 腎癌治療の7年後に右上顎洞への転移を認め上顎全摘術を施行した. 腎細胞癌は原発巣治療後の長期経過での転移例報告が多い. 頭頸部領域に病変を認めた際に, 腎癌既往がある症例ではその転移の可能性を念頭に置く必要があり, 啓発のためにここに報告する.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.114.864