筋ジストロフィーモデルマウスにおける廃用性筋萎縮に対する等尺性収縮運動の影響

進行した廃用性筋萎縮を伴うジストロフィー筋に対する等尺性収縮運動の影響を組織病理学的に検討した。実験動物にはmdx雄マウス20匹を用い,対照群(n = 5)と実験群(n = 15)に振り分けた。実験群には後肢懸垂を2週間実施し,廃用性筋萎縮を惹起させた。そして実験群の内5匹は後肢懸垂のみとし,5匹は後肢懸垂後に通常飼育を2週間,他の5匹は後肢懸垂後に体重の50%の重錘を尾部につけて行う等尺性収縮運動を2週間負荷した。結果,長趾伸筋では運動負荷による筋線維の肥大効果を認めず,病理学的所見の出現頻度も助長されなかった。一方,ヒラメ筋においては筋線維の肥大効果が認められたが,筋線維壊死も増加していた...

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Published in理学療法学 Vol. 27; no. 5; pp. 151 - 156
Main Authors 沖田, 実, 吉村, 俊朗, 辻畑, 光宏, 大木田, 治夫, 中野, 治郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士学会 31.07.2000
日本理学療法士協会
Subjects
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ISSN0289-3770
2189-602X
DOI10.15063/rigaku.KJ00001308582

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Summary:進行した廃用性筋萎縮を伴うジストロフィー筋に対する等尺性収縮運動の影響を組織病理学的に検討した。実験動物にはmdx雄マウス20匹を用い,対照群(n = 5)と実験群(n = 15)に振り分けた。実験群には後肢懸垂を2週間実施し,廃用性筋萎縮を惹起させた。そして実験群の内5匹は後肢懸垂のみとし,5匹は後肢懸垂後に通常飼育を2週間,他の5匹は後肢懸垂後に体重の50%の重錘を尾部につけて行う等尺性収縮運動を2週間負荷した。結果,長趾伸筋では運動負荷による筋線維の肥大効果を認めず,病理学的所見の出現頻度も助長されなかった。一方,ヒラメ筋においては筋線維の肥大効果が認められたが,筋線維壊死も増加していた。これらのことから,廃用性筋萎縮が進行したジストロフィー筋に対する等尺性収縮運動は,筋線維肥大をもたらす有効なものであるが,一部の筋線維に対しては筋損傷といった悪影響をおよぼす可能性があると推察された。
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.KJ00001308582