最大等尺性膝屈曲運動時のハムストリングスの筋活動について

本研究の目的は,膝関節屈曲運動時におけるハムストリングス4筋の活動様式の違いを明らかにすることと,最大随意収縮中の関節角度と筋活動および発揮トルクとの関係を明らかにすることであった。対象は健常男性10名であった。運動課題は5秒間の最大等尺性膝屈曲運動であり,その時の発揮トルクを測定し同時に半腱様筋・半膜様筋・大腿二頭筋長頭・大腿二頭筋短頭から筋電図を導出した。運動は股関節0度の腹臥位で,膝関節を60度と90度の屈曲角度で下腿を中間位,外旋位および内旋位に固定した肢位で行った。筋電図の導出には双極ワイヤー電極を使用し,得られた筋電図を全波整流した後積分値を求め,膝屈曲トルクと共に関節角度との関係...

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Published in理学療法学 Vol. 26; no. 2; pp. 62 - 67
Main Authors 伊橋, 光二, 大山, 峰生, 池田, 知純, 八木, 了, 赤坂, 清和, 半田, 康延, 大西, 秀明, 百瀬, 公人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士学会 31.03.1999
日本理学療法士協会
Subjects
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ISSN0289-3770
2189-602X
DOI10.15063/rigaku.KJ00003131556

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Summary:本研究の目的は,膝関節屈曲運動時におけるハムストリングス4筋の活動様式の違いを明らかにすることと,最大随意収縮中の関節角度と筋活動および発揮トルクとの関係を明らかにすることであった。対象は健常男性10名であった。運動課題は5秒間の最大等尺性膝屈曲運動であり,その時の発揮トルクを測定し同時に半腱様筋・半膜様筋・大腿二頭筋長頭・大腿二頭筋短頭から筋電図を導出した。運動は股関節0度の腹臥位で,膝関節を60度と90度の屈曲角度で下腿を中間位,外旋位および内旋位に固定した肢位で行った。筋電図の導出には双極ワイヤー電極を使用し,得られた筋電図を全波整流した後積分値を求め,膝屈曲トルクと共に関節角度との関係を観察した。その結果,膝屈曲トルクは下腿回旋肢位にかかわらず常に60度屈曲位で有意に高い値を示した。半腱様筋の筋電図積分値は下腿中間位および外旋位において60度屈曲位の方が90度屈曲位に比べて有意に低い値を示した。半膜様筋の積分値も同様に下腿中間位で60度屈曲位で有意に低い値を示し,下腿外旋位で60度屈曲位の方が低い傾向を示した。一方,大腿二頭筋長頭の積分値は,下腿回旋肢位にかかわらず60度屈曲位で得られた値の方が90度屈曲位での値より有意に高い値を示した。大腿二頭筋短頭の積分値は下腿回旋の肢位にかかわらず60度屈曲位で得られた値と90度屈曲位で得られた値との間に有意な差はみられなかった。これらのことより,最大努力で膝関節を屈曲している場合でも,主動作筋であるハムストリングス4筋の筋活動は関節角度に影響されて変化することと,膝関節屈曲運動に関与するハムストリングス4筋の活動様式に違いがあることが示された。
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.KJ00003131556