三相造影CTによる側方進入腰椎椎体間固定術に必要な腰部静脈系血管の解剖学的変異の検討

はじめに:術野の視野が限られた側方進入腰椎椎体間固定術(LLIF)では腰部静脈系血管からの出血でも手術の妨げになり,その走行や分枝には個人差が大きく周術期の血管損傷は回避すべき合併症である.今回,LLIFにおいて三相造影CTによる腰部静脈系血管の下大静脈(IVC)の走行とその分岐レベルならびに描出された腸腰静脈(ILV)の出現頻度について調査した.対象と方法:成人脊柱変形に対してLLIF手術前に造影CTを施行した71例を対象とした.造影剤の急速投与後に動脈相・静脈相・平衡相からなる三相造影により撮像し,椎体と動脈・静脈・尿管との関係を描出し,3DCT画像を構築した.IVC左側外縁と正中仙骨垂線...

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Published inJournal of Spine Research Vol. 14; no. 10; pp. 1325 - 1331
Main Authors 茶薗, 昌明, 瓜本, 奏太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会 20.10.2023
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Summary:はじめに:術野の視野が限られた側方進入腰椎椎体間固定術(LLIF)では腰部静脈系血管からの出血でも手術の妨げになり,その走行や分枝には個人差が大きく周術期の血管損傷は回避すべき合併症である.今回,LLIFにおいて三相造影CTによる腰部静脈系血管の下大静脈(IVC)の走行とその分岐レベルならびに描出された腸腰静脈(ILV)の出現頻度について調査した.対象と方法:成人脊柱変形に対してLLIF手術前に造影CTを施行した71例を対象とした.造影剤の急速投与後に動脈相・静脈相・平衡相からなる三相造影により撮像し,椎体と動脈・静脈・尿管との関係を描出し,3DCT画像を構築した.IVC左側外縁と正中仙骨垂線(CSVL)との水平距離(RLD),ILVの本数,流入静脈,椎体走行高位を調査した.結果:RLDは側弯Cobb角と有意な相関を認めた.ILVは約7割の症例で同定できた.ILV流入静脈は両側とも総腸骨静脈(CIV)が8割と最多であったが左右差はなかった.ILVは約5%の症例でL4/5レベルを横走していた.結語:従来の二相造影(動脈相・平衡相)では腰部静脈系血管の描出は困難である.我々が提案した三相造影では腸腰静脈の描出は良好であり,LLIFに対する術前計画に有用である.
ISSN:1884-7137
2435-1563
DOI:10.34371/jspineres.2023-1011