QM/MM法を用いたリン酸化反応の遷移状態モデリング
「1. はじめに」 計算分子科学は過去半世紀の間に大きな進歩を遂げた. 量子化学計算は低分子の構造や分光学的性質, 反応機構を知る有力な手段となった. 薬の候補となる低分子化合物の設計などにも広く応用されている. 古典分子動力学計算は結晶構造解析とともにタンパク質の構造・機能を明らかにする上で欠かすことのできない手段となった. 今, これら各階層毎に発展してきた計算科学手法を融合し, 階層を超えた生命現象の理解に向け挑戦が行われている. 1976年にWarshalとLevittによって考案されたQuantum Mechanics/Molecular Mechanics (QM/MM)法は, そ...
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Published in | YAKUGAKU ZASSHI Vol. 131; no. 8; pp. 1171 - 1182 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本薬学会
01.08.2011
日本薬学会 |
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Summary: | 「1. はじめに」 計算分子科学は過去半世紀の間に大きな進歩を遂げた. 量子化学計算は低分子の構造や分光学的性質, 反応機構を知る有力な手段となった. 薬の候補となる低分子化合物の設計などにも広く応用されている. 古典分子動力学計算は結晶構造解析とともにタンパク質の構造・機能を明らかにする上で欠かすことのできない手段となった. 今, これら各階層毎に発展してきた計算科学手法を融合し, 階層を超えた生命現象の理解に向け挑戦が行われている. 1976年にWarshalとLevittによって考案されたQuantum Mechanics/Molecular Mechanics (QM/MM)法は, その名の通り量子化学計算と古典分子力場計算を組み合わせた計算手法である.1-4) 酵素反応や表面反応に対して, 化学反応に係わる部分(活性部位)のみ高価な量子化学計算を行い, それ以外の部分は安価な分子力場で記述する近似法である. |
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ISSN: | 0031-6903 1347-5231 |
DOI: | 10.1248/yakushi.131.1171 |