心血管系における再生医療

循環器領域における再生医療の研究は急速に進んでおり,自己細胞を用いた血管新生療法は,現在難治性循環器疾患の最先端の治療法として確実に臨床に定着しつつある.心血管系における再生医療の現状を基礎と臨床の両面より報告する. 虚血性心疾患や閉塞性動脈硬化症(ASO)は日常臨床においてしばしば遭遇する疾患であり,人口の高齢化や食生活の欧米化に伴いこれら動脈硬化性疾患の患者は年々増加傾向にある. ASOやバージャー病などの閉塞性末梢動脈疾患患者に対する治療としては,危険因子の除去,運動療法,抗血小板薬や血管拡張薬などによる薬物療法の他,経皮経管的血行再建術やバイパス手術がある.しかし薬物治療に抵抗性であり...

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Published inTHE SHINSHU MEDICAL JOURNAL Vol. 53; no. 1; pp. 31 - 32
Main Author 笠井, 宏樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 2005
The Shinshu Medical Society
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ISSN0037-3826
1884-6580
DOI10.11441/shinshumedj.53.31

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Summary:循環器領域における再生医療の研究は急速に進んでおり,自己細胞を用いた血管新生療法は,現在難治性循環器疾患の最先端の治療法として確実に臨床に定着しつつある.心血管系における再生医療の現状を基礎と臨床の両面より報告する. 虚血性心疾患や閉塞性動脈硬化症(ASO)は日常臨床においてしばしば遭遇する疾患であり,人口の高齢化や食生活の欧米化に伴いこれら動脈硬化性疾患の患者は年々増加傾向にある. ASOやバージャー病などの閉塞性末梢動脈疾患患者に対する治療としては,危険因子の除去,運動療法,抗血小板薬や血管拡張薬などによる薬物療法の他,経皮経管的血行再建術やバイパス手術がある.しかし薬物治療に抵抗性であり,かつ血行再建が不可能な症例も少なくなく,毎年5千人近い患者が四肢切断を余儀なくされている.また,虚血性心疾患の患者の治療としては,冠動脈病変が一枝の場合は通常,交感神経β遮断薬,血管拡張薬,抗血小板薬等による薬物治療やカテーテルによる血管内治療が選択される.二枝,三枝病変の症例には,薬物療法に加え,カテーテルによる血管内治療やバイパス手術による血行再建が適応になる.
ISSN:0037-3826
1884-6580
DOI:10.11441/shinshumedj.53.31