片眼特発性黄斑円孔における立体視の検討

【目的】特発性黄斑円孔(以下MH)では、視力低下、変視や不等像をきたすとともに、両眼視機能が障害され日常生活に影響を与えている可能性がある。今回、片眼MHの立体視と視力、変視、不等像視、網膜形態との関連を検討した。 【対象及び方法】対象は未治療の片眼MH16例(57~85歳)。Titmus Stereo Test(以下TST)で測定した立体視差と視力、New Aniseikonia Test(以下NAT)を用いた不等像視、M-CHARTSを用いた水平および垂直変視量、光干渉断層計を用いMHの縦径・横径を測定した。TST Circleが判別可能であった症例を立体視良好群、不可能であった症例を立体...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本視能訓練士協会誌 Vol. 44; pp. 65 - 71
Main Authors 佐藤, 千尋, 森, 隆史, 新竹, 広晃, 齋藤, 章子, 丹治, 弘子, 石龍, 鉄樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本視能訓練士協会 2015
日本視能訓練士協会
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:【目的】特発性黄斑円孔(以下MH)では、視力低下、変視や不等像をきたすとともに、両眼視機能が障害され日常生活に影響を与えている可能性がある。今回、片眼MHの立体視と視力、変視、不等像視、網膜形態との関連を検討した。 【対象及び方法】対象は未治療の片眼MH16例(57~85歳)。Titmus Stereo Test(以下TST)で測定した立体視差と視力、New Aniseikonia Test(以下NAT)を用いた不等像視、M-CHARTSを用いた水平および垂直変視量、光干渉断層計を用いMHの縦径・横径を測定した。TST Circleが判別可能であった症例を立体視良好群、不可能であった症例を立体視不良群にわけて、2群間を比較検討した。 【結果】MHの病期状態はStage2が5例、Stage3が8例、Stage4が3例であった。TSTのFlyは全症例で可能だったが、Circleが判別可能だったのは半数の8例で、立体視は病期が進行しているほど、Circle判別可能症例の割合が低下した。不等像視は9例でみとめられ、すべて小視症であった。TST Circleの立体視とNATの小視症には関係がみられなかった。立体視は視力が不良の症例、水平変視量が大きい症例では不良であった。立体視は円孔径が大きいほど不良であり、TSTのCircleが可能であった症例では縦径・横径ともに400μm未満であった。立体視良好群と立体視不良群の2群間の検定では、縦径(p=0.027)と横径(p=0.001)で有意差をみとめ、視力、不等像視、水平および垂直変視量には有意差をみとめなかった。 【結論】MHの立体視機能は、円孔の大きさに影響を受ける。臨床での視機能評価の一つとして、立体視を考慮する必要がある。
ISSN:0387-5172
1883-9215
DOI:10.4263/jorthoptic.044F006