片眼性視力障害に対しbilateral pinhole法で心因性や詐病を否定できるかの検討
【目的】心因性や詐病が疑われる視力障害では、器質的疾患の否定と各検査所見の不一致から診断に至ることが多い。何らかの方法で正常視力を得ることは鑑別に有効で、患者負担も減らす事が出来ると考えられる。しかし、片眼性の場合は通常のトリック的手法では反応を得にくいことも多い。以前我々が報告したbilateral pinhole法(以下 bp法)は心因性や詐病が疑われる片眼性視力障害に対して行う視力検査法で、正常視力を得やすく鑑別に有用な一方法と考えている。今回は、bp法でも視力が不良の場合、心因性や詐病の可能性は低いのかを検討した。 【方法】1)両眼正常被検者にbp法を施行し、器質的疾患がなければ正常視...
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Published in | 日本視能訓練士協会誌 Vol. 42; pp. 155 - 161 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本視能訓練士協会
2013
日本視能訓練士協会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0387-5172 1883-9215 |
DOI | 10.4263/jorthoptic.042F015 |
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Summary: | 【目的】心因性や詐病が疑われる視力障害では、器質的疾患の否定と各検査所見の不一致から診断に至ることが多い。何らかの方法で正常視力を得ることは鑑別に有効で、患者負担も減らす事が出来ると考えられる。しかし、片眼性の場合は通常のトリック的手法では反応を得にくいことも多い。以前我々が報告したbilateral pinhole法(以下 bp法)は心因性や詐病が疑われる片眼性視力障害に対して行う視力検査法で、正常視力を得やすく鑑別に有用な一方法と考えている。今回は、bp法でも視力が不良の場合、心因性や詐病の可能性は低いのかを検討した。 【方法】1)両眼正常被検者にbp法を施行し、器質的疾患がなければ正常視力を得ることができるのかを調べた。2)器質的疾患による片眼視力不良患者にbp法を施行し、低視力眼の測定と思わせて良視力眼の測定をすることで心理的要素の影響を受けないのかを調べた。3)両眼開放を悟られない割合を1)と2)から求めた。 【結果】1)bp法成功者全例で正常視力が得られた。2)bp法成功者全例で心理的影響を受けず良好視力が得られた。3)成功したのは27名中23名(85%)だった。 【結論】片眼性視力障害に対しbp法でも視力が不良であれば心因性や詐病の可能性は低く、器質的疾患及び弱視が疑われると考えられた。 |
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ISSN: | 0387-5172 1883-9215 |
DOI: | 10.4263/jorthoptic.042F015 |