トーリック眼内レンズ挿入後3年間の角膜乱視の変化

【目的】2009年にトーリック眼内レンズ(以下T-IOL)が国内で発売されてから7年が経過した。昨年の当学会において AcrySof® iQ Toric レンズの長期成績について検討し、術後3年を経過しても乱視矯正効果が減弱しないことを報告した。しかし、角膜乱視は加齢とともに倒乱視化することが知られている。T-IOLを挿入した症例の角膜乱視の経年変化を調べ、T-IOLの乱視矯正効果に影響があるかについて検討した。【対象及び方法】2012年4月から2013年6月に白内障手術でAcrySof® iQ Toricを挿入した、角膜疾患を有さない17例23眼(74.5±5.8歳;平均±標準偏差、以下同様...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本視能訓練士協会誌 Vol. 46; pp. 175 - 179
Main Authors 川下, 晶, 蕪, 龍大, 竹下, 哲二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本視能訓練士協会 2017
日本視能訓練士協会
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:【目的】2009年にトーリック眼内レンズ(以下T-IOL)が国内で発売されてから7年が経過した。昨年の当学会において AcrySof® iQ Toric レンズの長期成績について検討し、術後3年を経過しても乱視矯正効果が減弱しないことを報告した。しかし、角膜乱視は加齢とともに倒乱視化することが知られている。T-IOLを挿入した症例の角膜乱視の経年変化を調べ、T-IOLの乱視矯正効果に影響があるかについて検討した。【対象及び方法】2012年4月から2013年6月に白内障手術でAcrySof® iQ Toricを挿入した、角膜疾患を有さない17例23眼(74.5±5.8歳;平均±標準偏差、以下同様)を対象とした。角膜乱視量と角膜乱視軸、他覚的球面度数および乱視量、自覚的球面度数および乱視量、裸眼および矯正視力、T-IOLの軸ずれ量について術後3年間の経過を追った。【結果】対象者の平均角膜乱視量は術後1週間で1.49±0.94D、術後3年で1.66±0.82Dとなり、増加したが有意差はみられなかった(p=0.81)。角膜乱視軸については、術後1週間で倒乱視17眼、直乱視4眼、斜乱視2眼であり、術後3年も同様で変化なかった。裸眼・矯正視力、他覚的・自覚的球面度数および乱視量、T-IOLの軸ずれ量についても、術後3年間で有意な変化はなかった。【結論】T-IOLの乱視矯正効果は挿入後3年たっても有意な低下は見られず、手術症例が高齢な場合、少なくとも3年後の角膜乱視の変化を考慮する必要はないものと思われる。
ISSN:0387-5172
1883-9215
DOI:10.4263/jorthoptic.046F118