連続反応を基盤とした含窒素複素環の新規構築法の開発

「1. はじめに」含窒素複素環は, 医薬品や天然アルカロイドなど, 様々な生物活性化合物の母核として重要な位置を占める. しかし, 近年, これら生物活性物質に要求される構造は複雑化しており, 窒素原子の持つ求核性を制御しつつ, 含窒素複素環の構築を実現するには工程の多段階化を伴うことが少なくない. したがって, 複数の結合形成を一挙に行うことのできる連続反応は, 標的分子構築の効率性に焦点を当てたステップエコノミーの観点から注目を集め, 盛んに研究がなされている. そこで筆者は, 含窒素複素環化合物の短工程合成法を企図し, 1)シクロブテノンに対するジアゾリチオ化合物の付加反応を契機とした4...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 138; no. 9; pp. 1151 - 1161
Main Author 杉本, 健士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.09.2018
日本薬学会
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:「1. はじめに」含窒素複素環は, 医薬品や天然アルカロイドなど, 様々な生物活性化合物の母核として重要な位置を占める. しかし, 近年, これら生物活性物質に要求される構造は複雑化しており, 窒素原子の持つ求核性を制御しつつ, 含窒素複素環の構築を実現するには工程の多段階化を伴うことが少なくない. したがって, 複数の結合形成を一挙に行うことのできる連続反応は, 標的分子構築の効率性に焦点を当てたステップエコノミーの観点から注目を集め, 盛んに研究がなされている. そこで筆者は, 含窒素複素環化合物の短工程合成法を企図し, 1)シクロブテノンに対するジアゾリチオ化合物の付加反応を契機とした4π-8π電子環状反応を利用した1,2-ジアゼピン骨格構築法の開発, 及び, 2)金触媒による三重結合の活性化を引き金としたアゾメチンイリド形成を基盤とするピロリジジン, ピロロイソキノリン骨格構築法の開発に取り組み, 新たな方法を見い出すことに成功した.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.18-00122