頸部郭清術における副神経温存・再建の意義

[1. はじめに] 近年の頸部郭清術では頸部制御に影響しない範囲で副神経を保存する頸部郭清術が一般的になっており, 副神経温存が術後のQOL向上に重要であることに異論はなかろう. 副神経は僧帽筋を支配する運動神経であるが, 耳鼻咽喉科が取り扱うその他の運動神経の代表格には顔面神経と反回神経がある. 耳下腺や甲状腺の手術では, これらの神経の愛護的かつ可及的保存が重要視される. また神経が切断されたり止む無く切除されたりした場合は神経縫合や神経移植を行うことで機能障害を軽減できる. 副神経に関しても同様の考え方ができる. [2. 副神経の走行] 副神経の多くは胸鎖乳突筋を貫いて走行し僧帽筋枝を分...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 116; no. 10; pp. 1146 - 1147
Main Author 鬼塚, 哲郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.10.2013
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.116.1146

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Summary:[1. はじめに] 近年の頸部郭清術では頸部制御に影響しない範囲で副神経を保存する頸部郭清術が一般的になっており, 副神経温存が術後のQOL向上に重要であることに異論はなかろう. 副神経は僧帽筋を支配する運動神経であるが, 耳鼻咽喉科が取り扱うその他の運動神経の代表格には顔面神経と反回神経がある. 耳下腺や甲状腺の手術では, これらの神経の愛護的かつ可及的保存が重要視される. また神経が切断されたり止む無く切除されたりした場合は神経縫合や神経移植を行うことで機能障害を軽減できる. 副神経に関しても同様の考え方ができる. [2. 副神経の走行] 副神経の多くは胸鎖乳突筋を貫いて走行し僧帽筋枝を分岐するが, 僧帽筋枝が胸鎖乳突筋を貫通する前に分岐して背側付近を走行するものもある.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.116.1146