東京医科大学八王子医療センターにおけるロービジョンケアへの取り組みについて

【目的】東京医科大学八王子医療センター眼科における、ロービジョンケアへの取り組みについてまとめた。 【方法・対象】2005年11月から2008年5月までにロービジョンケアを施行した69例(男性38例、女性31例、平均年齢69.7歳)を対象に、視力と視野検査及び、VFQ-39によるアンケートをもとに、視覚的補助具の試行及び選定を行った結果を集計し、検討を行った。 【結果】視覚障害の原因は糖尿病網膜症、黄斑変性、緑内障の順で多かった。年齢別の内訳は、70代以上が42例(61%)と多かった。 手帳の取得率は87%(69例中60例)であり、11例で今回初めて手帳が交付され、手帳取得者のうち6例は等級が...

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Published in日本視能訓練士協会誌 Vol. 40; pp. 179 - 185
Main Authors 大房, 朱美, 伊藤, 由香, 島宗, 智恵, 長谷川, 明菜, 東, 真司, 小島, なぎさ, 若林, 美宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本視能訓練士協会 2011
日本視能訓練士協会
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Summary:【目的】東京医科大学八王子医療センター眼科における、ロービジョンケアへの取り組みについてまとめた。 【方法・対象】2005年11月から2008年5月までにロービジョンケアを施行した69例(男性38例、女性31例、平均年齢69.7歳)を対象に、視力と視野検査及び、VFQ-39によるアンケートをもとに、視覚的補助具の試行及び選定を行った結果を集計し、検討を行った。 【結果】視覚障害の原因は糖尿病網膜症、黄斑変性、緑内障の順で多かった。年齢別の内訳は、70代以上が42例(61%)と多かった。 手帳の取得率は87%(69例中60例)であり、11例で今回初めて手帳が交付され、手帳取得者のうち6例は等級が上がった。視野障害のみで手帳に該当したのは11例であった。70歳以上と未満で VFQ-39の結果を比較したところ、70歳以上の平均スコアは、周辺視力、色覚、運転を除く全ての項目で低かった。患者の訴えは「文字の読み書きが困難」、「眩しい」の順に多く、いずれも糖尿病網膜症例における訴えの割合が全疾患中最も高かった。今回、ロービジョンケアを行った73%の症例が実際に補助具を購入した。 【結論】ロービジョンケアを行う中で、患者の不自由度を理解し、訴えに対する視覚的補助具の試行及び選定をすることができた。また、今後もロービジョンケアが必要と思われる患者への積極的な介入と、継続したケアを行うことが今後の課題である。
ISSN:0387-5172
1883-9215
DOI:10.4263/jorthoptic.040F120