血管内治療で救命した顎動静脈瘻破裂症例

神経線維腫症1型の64歳女性に突然生じた右頸部の血腫に対して, 気道確保のため施行した気管切開術後, 気管内に流入する血液が止まらなくなった. 右副咽頭間隙の血管病変からの出血が, 気管傍間隙を通って気管切開孔に達していた. 血管造影にて顎動脈の動静脈瘻が判明し, 動静脈短絡による圧上昇から生じた静脈瘤の破裂と診断した. 止血救命のため血管内治療を施行し, 大量の白金コイルと血管塞栓物質を静脈瘤と動静脈瘻部位に注入した. 頭頸部領域の動静脈瘻に対しては, 外切開手術よりも近年の進歩が著しい血管内治療が望ましいが, 診療報酬や塞栓物質の薬事法未承認の問題がある....

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 119; no. 12; pp. 1516 - 1522
Main Authors 相馬, 眞祈, 松山, 敏之, 高橋, 克昌, 近松, 一朗, 工藤, 毅
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.12.2016
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.119.1516

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Summary:神経線維腫症1型の64歳女性に突然生じた右頸部の血腫に対して, 気道確保のため施行した気管切開術後, 気管内に流入する血液が止まらなくなった. 右副咽頭間隙の血管病変からの出血が, 気管傍間隙を通って気管切開孔に達していた. 血管造影にて顎動脈の動静脈瘻が判明し, 動静脈短絡による圧上昇から生じた静脈瘤の破裂と診断した. 止血救命のため血管内治療を施行し, 大量の白金コイルと血管塞栓物質を静脈瘤と動静脈瘻部位に注入した. 頭頸部領域の動静脈瘻に対しては, 外切開手術よりも近年の進歩が著しい血管内治療が望ましいが, 診療報酬や塞栓物質の薬事法未承認の問題がある.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.119.1516