「耳鳴り」の相関帯療法と鍼感現象
体外から何等, 音感刺戟が与えられていないのに耳・頭蓋内などに雑音を覚える状態は「耳鳴り」として取り扱われている. 「耳鳴り」の原因としては外耳・中耳・内耳などの炎症, 又は機械的・化学的刺戟, 耳周囲や頭蓋内血管の拍動, 耳小骨筋・口蓋帆筋肉の律動性痙攣などの外に聴神経系の異常興奮, 或いは不定愁訴の一環としての耳鳴りなど様々である. 耳鳴りの性質は其の原因が外耳・中耳に在る場合は一般に低音性で一側性, 内耳や神経性に起因するものは高音性・両側性の傾向があり後者は治療に抵抗を示し好転しない場合が多い, とされている. 長期間「耳鳴り」で悩んでいる患者達の話を総合すると次のようなものとなる....
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Published in | 日本良導絡自律神経学会雑誌 Vol. 39; no. 6; pp. 186 - 193 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本良導絡自律神経学会
1994
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0913-0977 1884-7595 |
DOI | 10.17119/ryodoraku1986.39.186 |
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Summary: | 体外から何等, 音感刺戟が与えられていないのに耳・頭蓋内などに雑音を覚える状態は「耳鳴り」として取り扱われている. 「耳鳴り」の原因としては外耳・中耳・内耳などの炎症, 又は機械的・化学的刺戟, 耳周囲や頭蓋内血管の拍動, 耳小骨筋・口蓋帆筋肉の律動性痙攣などの外に聴神経系の異常興奮, 或いは不定愁訴の一環としての耳鳴りなど様々である. 耳鳴りの性質は其の原因が外耳・中耳に在る場合は一般に低音性で一側性, 内耳や神経性に起因するものは高音性・両側性の傾向があり後者は治療に抵抗を示し好転しない場合が多い, とされている. 長期間「耳鳴り」で悩んでいる患者達の話を総合すると次のようなものとなる. i. 専門医や大学病院の平衡神経科で徹底的に検査を受けたが異常が無い. ii. 治療を継続したが全く効果が認められない. iii. 東洋医学的治療を並行して受けてきたが経費は嵩むし, 耳周囲の鍼治療は痛いので中止. 漢方薬も目立った効果が無く罷めてしまった. iv. 発病以来, 長期間(10年以上が大部分)耳鳴りで悩んできたが最近は治らないものと諦めている. 原因の明らかな耳鳴りは専門医に依って適切な処置が施され改善する場合が多いのであろうが原因不明で改善されないものが最初は好奇心も手伝って鍼治療を受けに来ることになる. |
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ISSN: | 0913-0977 1884-7595 |
DOI: | 10.17119/ryodoraku1986.39.186 |