児童用多次元共感性尺度の信頼性・妥当性の検討

「問題」 近年, 児童期の社会性や道徳性の低下が指摘され, 教育現場において子どもの思いやり意識や共感性を育むことが必至の課題とされている. 共感性を含めた社会性育成のための教育的な働きかけを適切に行うためには, 子どもの共感性の発達過程を明らかにする必要がある. これまで, 共感性の測定のために, 情動的共感性尺度(QMEE:日本版は, 加藤・高木, 1980), 状況提示による情動理解(AST:浅川・松岡, 1987)などが開発されてきた. 近年では, 共感を多面的に捉えようとする多次元的な測度も開発されてきている. 代表的なものはDavis(1983)による対人的反応性指標(Interp...

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Published inパーソナリティ研究 Vol. 17; no. 3; pp. 307 - 310
Main Authors 長谷川, 真里, 堀内, 由樹子, 鈴木, 佳苗, 佐渡, 真紀子, 坂元, 章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本パーソナリティ心理学会 2009
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Summary:「問題」 近年, 児童期の社会性や道徳性の低下が指摘され, 教育現場において子どもの思いやり意識や共感性を育むことが必至の課題とされている. 共感性を含めた社会性育成のための教育的な働きかけを適切に行うためには, 子どもの共感性の発達過程を明らかにする必要がある. これまで, 共感性の測定のために, 情動的共感性尺度(QMEE:日本版は, 加藤・高木, 1980), 状況提示による情動理解(AST:浅川・松岡, 1987)などが開発されてきた. 近年では, 共感を多面的に捉えようとする多次元的な測度も開発されてきている. 代表的なものはDavis(1983)による対人的反応性指標(Interpersonal Reactivity Index;IRI)であり, 他者への同情や思いやりの他者志向的感情の共感的関心(Empathic Concern;EC), 日常生活の中で自発的に他者の心理的観点を取る傾向性に焦点をあてた視点取得(Perspective Taking;PT), 他者への苦しみに対する苦痛感や不快感に関する自己志向的感情の個人的苦痛(Personal Distress;PD), 仮想の状況・場面に自分を置き換えて想像する傾向性に焦点をあてたファンタジー(Fantasy;FS)の4つの下位尺度から構成されている.
ISSN:1348-8406
1349-6174
DOI:10.2132/personality.17.307