低侵襲脊椎手術を組み入れた化膿性脊椎炎に対する治療戦略と臨床成績

はじめに:我々は,胸腰椎部の化膿性脊椎炎に対しPPS固定,LLIFを中心とした低侵襲脊椎手術(MIST)を導入してきた.本稿では,当教室におけるMISTを組み入れた化膿性脊椎炎に対する治療戦略とその臨床成績を報告する.対象と方法:当科で治療した化膿性脊椎炎54例を後ろ向きに調査した.保存療法抵抗例には罹患椎間/椎体を挟んで2 above 2 belowでPPS固定のみを行い,麻痺のある症例は別の正中皮切で除圧を行った.感染が沈静化し罹患椎間が骨癒合に至れば抜釘を行った.後方法で感染が沈静化しない症例はLLIF手技で病巣/椎間板を郭清し腸骨移植を行った.結果:易感染性要因を有した症例は39例(7...

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Published inJournal of Spine Research Vol. 15; no. 5; pp. 744 - 752
Main Authors 足立, 崇, 谷口, 愼一郎, 川島, 康輝, 中, 信裕, 小野, 直登, 谷, 陽一, 齋藤, 貴徳, 石原, 昌幸, 安藤, 宗治, 朴, 正旭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会 20.05.2024
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ISSN1884-7137
2435-1563
DOI10.34371/jspineres.2023-0032

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Summary:はじめに:我々は,胸腰椎部の化膿性脊椎炎に対しPPS固定,LLIFを中心とした低侵襲脊椎手術(MIST)を導入してきた.本稿では,当教室におけるMISTを組み入れた化膿性脊椎炎に対する治療戦略とその臨床成績を報告する.対象と方法:当科で治療した化膿性脊椎炎54例を後ろ向きに調査した.保存療法抵抗例には罹患椎間/椎体を挟んで2 above 2 belowでPPS固定のみを行い,麻痺のある症例は別の正中皮切で除圧を行った.感染が沈静化し罹患椎間が骨癒合に至れば抜釘を行った.後方法で感染が沈静化しない症例はLLIF手技で病巣/椎間板を郭清し腸骨移植を行った.結果:易感染性要因を有した症例は39例(72%),起因菌を特定できた症例は33例(検出率61.1%,グラム陽性菌30例,グラム陰性菌3例)であった.手術療法を要したものは39例で,後方法のみで治癒したのは35例,前方追加手術を要したのは4例であった.結語:保存療法抵抗例に対しては,罹患椎間/椎体に隣接する頭尾側椎体のPPS固定を行うことにより,病巣郭清に多くの症例で感染の沈静化と罹患椎間の骨癒合が得られた.
ISSN:1884-7137
2435-1563
DOI:10.34371/jspineres.2023-0032