小学校低学年の体育授業における学習集団の形成過程に関する事例研究

「1 緒言」近年, 子どもの人間関係の希薄化が問題となっている. 芳賀(2007)によれば, 「家族とのかかわりが希薄になったり, 子ども同士の集団の外遊びが減少したりしたこと」が原因となり, 「子どもが人や社会との関係の中で自分を磨く機会が減少し, その結果社会性が低下している」という. こうした問題に対して, 家庭や地域社会はもちろんのこと, 学校教育においても早急に改善に取り組むことが求められる. かつて1960年代には, 当時の「バラバラの個人主義的, 利己主義的な学習動機, 『弱肉強食』の『野蛮な競争』状況におちいっている学級の現状」(吉本, 1966, p.240)という人間関係の...

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Published in体育学研究 Vol. 54; no. 2; pp. 405 - 423
Main Authors 加登本, 仁, 大後戸, 一樹, 木原, 成一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本体育学会 2009
日本体育学会
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Summary:「1 緒言」近年, 子どもの人間関係の希薄化が問題となっている. 芳賀(2007)によれば, 「家族とのかかわりが希薄になったり, 子ども同士の集団の外遊びが減少したりしたこと」が原因となり, 「子どもが人や社会との関係の中で自分を磨く機会が減少し, その結果社会性が低下している」という. こうした問題に対して, 家庭や地域社会はもちろんのこと, 学校教育においても早急に改善に取り組むことが求められる. かつて1960年代には, 当時の「バラバラの個人主義的, 利己主義的な学習動機, 『弱肉強食』の『野蛮な競争』状況におちいっている学級の現状」(吉本, 1966, p.240)という人間関係の希薄化を克服するために, 「学習集団」という概念が登場し, 盛んに研究が行われていた. ここでいう「学習集団」とは, 「集団的民主的連帯のモラルと科学・芸術の基本の習得にたちむかう認識発展とを, 統一的にひとりひとりに実現していく授業過程の展開」(吉本, 1966, p.240)を目指すものである.
ISSN:0484-6710
1881-7718
DOI:10.5432/jjpehss.a540214