骨盤輪骨折によりS1神経根障害を来した1例

はじめに:骨盤輪骨折は様々な合併症を引き起こすが,神経障害はQOLに関わる重要な合併症のひとつである.神経障害がもたらす弊害は深刻なものであるにも関わらず,外傷急性期の重篤な病態ゆえに見落とされることも多い.我々は骨盤輪骨折後,遅発性にS1神経根障害を来した症例を経験し,手術加療を行うことで症状が改善したため報告する.症例:23歳,女性.仕事中に倒れてきた建材に挟まれて受傷し救急搬送された.骨盤輪骨折を認め,受傷後6日目に骨接合術を施行した.術後4週間の両下肢免荷訓練後に荷重訓練を開始した.荷重訓練を開始した直後から,右下肢の疼痛と筋力低下を認めた.CTおよびMRI検査から,仙骨骨折部周囲での...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJournal of Spine Research Vol. 13; no. 4; pp. 726 - 730
Main Authors 井村, 直哉, 渡邊, 宣之, 遠藤, 浩二郎, 神田, 佳洋, 福岡, 宗良, 早川, 和男, 中井, 拓也, 山田, 宏毅, 貝沼, 慎悟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会 20.04.2022
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1884-7137
2435-1563
DOI10.34371/jspineres.2022-1208

Cover

Loading…
More Information
Summary:はじめに:骨盤輪骨折は様々な合併症を引き起こすが,神経障害はQOLに関わる重要な合併症のひとつである.神経障害がもたらす弊害は深刻なものであるにも関わらず,外傷急性期の重篤な病態ゆえに見落とされることも多い.我々は骨盤輪骨折後,遅発性にS1神経根障害を来した症例を経験し,手術加療を行うことで症状が改善したため報告する.症例:23歳,女性.仕事中に倒れてきた建材に挟まれて受傷し救急搬送された.骨盤輪骨折を認め,受傷後6日目に骨接合術を施行した.術後4週間の両下肢免荷訓練後に荷重訓練を開始した.荷重訓練を開始した直後から,右下肢の疼痛と筋力低下を認めた.CTおよびMRI検査から,仙骨骨折部周囲での右S1神経根障害を疑った.保存的加療後も症状は改善しなかった.術後4ヶ月で右S1神経根の除圧術を行い症状の改善を認めた.結語:骨盤輪骨折後の遅発性S1神経根障害を来した症例を経験した.まれではあるが,骨盤骨折後に遅発性の神経障害が生じることがあるため,注意深い経過観察が必要である.
ISSN:1884-7137
2435-1563
DOI:10.34371/jspineres.2022-1208