コミュニティ・スポーツ論の再構成

「問題の所在」「日本の『ムラ的状況』から全く切り離し, 自立した個人による新たな民主的な連帯と自治の場としての地域社会」を創り出すことをめざしたのが「コミュニティ論」である(速見, 2001, p.57). このあるべき地域社会の創造をめざした, いうなれば啓蒙的「コミュニティ論」は, 1973年に経済企画庁が発表した『経済社会基本計画―活力ある福祉社会のために』において「コミュニティ・スポーツ」という用語が登場して以来, スポーツがコミュニティ形成の有力な手段であると, 政策担当者や大方の体育研究者に認識させた注1). しかしながら, スポーツがその理念に対していかなる「コミュニティ」を形成...

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Published in体育学研究 Vol. 54; no. 1; pp. 77 - 88
Main Authors 伊藤, 恵造, 松村, 和則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本体育学会 2009
日本体育学会
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Summary:「問題の所在」「日本の『ムラ的状況』から全く切り離し, 自立した個人による新たな民主的な連帯と自治の場としての地域社会」を創り出すことをめざしたのが「コミュニティ論」である(速見, 2001, p.57). このあるべき地域社会の創造をめざした, いうなれば啓蒙的「コミュニティ論」は, 1973年に経済企画庁が発表した『経済社会基本計画―活力ある福祉社会のために』において「コミュニティ・スポーツ」という用語が登場して以来, スポーツがコミュニティ形成の有力な手段であると, 政策担当者や大方の体育研究者に認識させた注1). しかしながら, スポーツがその理念に対していかなる「コミュニティ」を形成したのか, またそれはどのような「スポーツ」であったのか, といった根本的疑問に応えようとした研究蓄積はほとんどない. 我々は, まずこの事実の確認から始める必要がある. また, 社会学領域での「コミュニティ論」の学史的検討を, 体育学という「界」において自らの研究史を踏まえて議論をし尽くすこともなかった.
ISSN:0484-6710
1881-7718
DOI:10.5432/jjpehss.a540109