IV 型コラーゲン染色でAlport 症候群と診断した非IgA メサンギウム増殖性腎炎の1 例

Alport 症候群は,IV 型コラーゲンα 鎖の異常により,進行性腎障害,感音性難聴,眼科的異常を来す遺伝性疾患である。病初期は顕微鏡的血尿が唯一の所見であるため,早期に診断することは困難とされる。今回我々は,3 歳児検尿で血尿・蛋白尿を指摘され,7 歳時の第1 回腎生検で非IgA メサンギウム増殖性腎炎と暫定診断され,11 歳時の第2 回腎生検のIV 型コラーゲン染色によりAlport 症候群と診断した男児例を経験した。遺伝形式はIV 型コラーゲンα5 鎖の染色パターンからは常染色体劣性型が疑われたが,遺伝子解析でCOL4A5 exon21 に9 塩基の欠失によるインフレーム変異を認め,X...

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Published in日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 32; no. 1; pp. 31 - 36
Main Authors 佐藤, 朋子, 浅野, 貴子, 橋本, 淳也, 山本, かずな, 山村, 智彦, 野津, 寛大, 飯島, 一誠, 野々山, 恵章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本小児腎臓病学会 2019
日本小児腎臓病学会
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Summary:Alport 症候群は,IV 型コラーゲンα 鎖の異常により,進行性腎障害,感音性難聴,眼科的異常を来す遺伝性疾患である。病初期は顕微鏡的血尿が唯一の所見であるため,早期に診断することは困難とされる。今回我々は,3 歳児検尿で血尿・蛋白尿を指摘され,7 歳時の第1 回腎生検で非IgA メサンギウム増殖性腎炎と暫定診断され,11 歳時の第2 回腎生検のIV 型コラーゲン染色によりAlport 症候群と診断した男児例を経験した。遺伝形式はIV 型コラーゲンα5 鎖の染色パターンからは常染色体劣性型が疑われたが,遺伝子解析でCOL4A5 exon21 に9 塩基の欠失によるインフレーム変異を認め,X 染色体連鎖型と診断した。Alport 症候群は,IV 型コラーゲン染色や遺伝子解析で診断が可能であるため,持続性血尿の鑑別疾患として積極的に考慮する必要がある。
ISSN:0915-2245
1881-3933
DOI:10.3165/jjpn.cr.2018.0146