保存的加療で骨癒合を得た成人環軸関節回旋脱臼骨折の一例

今回,我々は極めて稀な軸椎骨折を伴った環軸関節回旋脱臼骨折の一例を経験したので,報告する.症例は38歳男性で,平成21年3月,飲酒後誤って階段より転落し頭部を強打して受傷.以後,頚部痛,斜頚を認め翌日近医整形外科受診.神経症状みられず,頚椎牽引行うも症状改善しなかったため,受傷後1週で当院紹介となる.画像上,右側環軸椎関節が回旋位に脱臼しており軸椎上関節突起が一部骨折していた.頸椎牽引の量を増やし加療していたが整復位を得ることができず,全身麻酔下で透視下に徒手整復術を施行し,整復位を得ることができた.整復後画像診断にて,椎骨動脈の異常を認めなかった.整復後カラーにて外固定を継続し,術後2カ月で...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 59; no. 4; pp. 764 - 765
Main Authors 中島, 隆之, 冨永, 博之, 有島, 善也, 宮口, 文宏, 砂原, 伸彦, 武富, 榮二, 小宮, 節郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2010
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Summary:今回,我々は極めて稀な軸椎骨折を伴った環軸関節回旋脱臼骨折の一例を経験したので,報告する.症例は38歳男性で,平成21年3月,飲酒後誤って階段より転落し頭部を強打して受傷.以後,頚部痛,斜頚を認め翌日近医整形外科受診.神経症状みられず,頚椎牽引行うも症状改善しなかったため,受傷後1週で当院紹介となる.画像上,右側環軸椎関節が回旋位に脱臼しており軸椎上関節突起が一部骨折していた.頸椎牽引の量を増やし加療していたが整復位を得ることができず,全身麻酔下で透視下に徒手整復術を施行し,整復位を得ることができた.整復後画像診断にて,椎骨動脈の異常を認めなかった.整復後カラーにて外固定を継続し,術後2カ月で骨癒合を得ることができ,また不安定性もみられなかった.骨折を伴った環軸関節回旋脱臼は,ほとんど報告がなく極めて稀な症例といえる.今回,我々は観血的治療を行わず,良好な骨癒合を得ることができた.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.59.764