帝王切開の術後瘢痕部に生じた腹壁子宮内膜症の2例

「I はじめに」子宮内膜症とは, 子宮内膜組織が異所性に存在, 増殖する疾患で, 生殖年齢女性によく見られる. あらゆる部位に発生するが, 時に腹壁に発生する子宮内膜症を経験することがあり, 手術瘢痕部に生じた皮下腫瘤の診療において, 鑑別すべき疾患の一つである. 今回, 帝王切開術後瘢痕部に生じた腹壁子宮内膜症の2例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. 「II 症例」症例1 : 37歳, 女性. 主訴 : 有痛性皮下腫瘤. 既往歴 : 29歳時, 帝王切開. 現病歴 : 3カ月前より右下腹部腫瘤を自覚. 月経1週間後に増強する疼痛を伴っていた. 徐々に腫瘤の増大傾向を認め, 当院を...

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Published in信州医学雑誌 Vol. 66; no. 1; pp. 51 - 56
Main Authors 島田, 奈緒, 飯沼, 伸佳, 北川, 敬之, 秋田, 眞吾, 三輪, 史郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 10.02.2018
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Summary:「I はじめに」子宮内膜症とは, 子宮内膜組織が異所性に存在, 増殖する疾患で, 生殖年齢女性によく見られる. あらゆる部位に発生するが, 時に腹壁に発生する子宮内膜症を経験することがあり, 手術瘢痕部に生じた皮下腫瘤の診療において, 鑑別すべき疾患の一つである. 今回, 帝王切開術後瘢痕部に生じた腹壁子宮内膜症の2例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. 「II 症例」症例1 : 37歳, 女性. 主訴 : 有痛性皮下腫瘤. 既往歴 : 29歳時, 帝王切開. 現病歴 : 3カ月前より右下腹部腫瘤を自覚. 月経1週間後に増強する疼痛を伴っていた. 徐々に腫瘤の増大傾向を認め, 当院を受診した. 現症 : 下腹部に横切開の手術瘢痕があり, その右端に母指頭大の圧痛を伴う硬結を認めた. 可動性は良好で皮膚の発赤や熱感はなかった.
ISSN:0037-3826
1884-6580
DOI:10.11441/shinshumedj.66.51