副甲状腺嚢胞から発生した特発性頸部出血の1症例

副甲状腺嚢胞からの出血はまれな現象である. 背側に後咽頭腔があり解剖学的に疎な構造であるため, 出血が拡がると気道緊急の原因となるなど, 時に重篤な状態となる. 今回, 50歳の女性で, 副甲状腺嚢胞から発生した特発性頸部出血の1症例を経験した. 後咽頭腔の画像所見は初診時に出血を疑った. 手術, 検査所見から非機能性の副甲状腺嚢胞出血と, 後咽頭腔の浮腫が起きていたと診断した. 運動時の頸部捻転が出血の誘因となった可能性がある. 浮腫の原因は嚢胞の圧迫, 静脈, リンパ系の滞留, 動脈塞栓後の影響が考えられるが, 気道緊急に至った例は過去に報告がなくまれな症例である....

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 117; no. 9; pp. 1194 - 1199
Main Authors 伊藤, 八次, 林, 寿光, 加藤, 史門, 水田, 啓介, 西堀, 丈純, 久世, 文也, 柴田, 博史, 安藤, 健一, 青木, 光広
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.09.2014
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.117.1194

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Summary:副甲状腺嚢胞からの出血はまれな現象である. 背側に後咽頭腔があり解剖学的に疎な構造であるため, 出血が拡がると気道緊急の原因となるなど, 時に重篤な状態となる. 今回, 50歳の女性で, 副甲状腺嚢胞から発生した特発性頸部出血の1症例を経験した. 後咽頭腔の画像所見は初診時に出血を疑った. 手術, 検査所見から非機能性の副甲状腺嚢胞出血と, 後咽頭腔の浮腫が起きていたと診断した. 運動時の頸部捻転が出血の誘因となった可能性がある. 浮腫の原因は嚢胞の圧迫, 静脈, リンパ系の滞留, 動脈塞栓後の影響が考えられるが, 気道緊急に至った例は過去に報告がなくまれな症例である.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.117.1194