滲出性中耳炎診療ガイドライン

「1. はじめに」小児滲出性中耳炎は, 就学前に90%が一度は罹患する中耳疾患であり, 小児に難聴を引き起こす最大の原因である. 本邦ではこれまで, 諸家の間で小児滲出性中耳炎の診断や治療法など臨床管理の方法に幅があったことから, 「医療機関によって治療方針が全く異なっている」かのように受け止められがちな疾患であった. これを受けて, 2015年1月に日本耳科学会, 日本小児耳鼻咽喉科学会によって「小児滲出性中耳炎診療ガイドライン2015年版」が発刊された. これは本邦の小児滲出性中耳炎ガイドラインの初版であり, 欧米とは医療環境が異なる本邦の現状をふまえて, その実情に即した臨床管理の指針を...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 121; no. 9; pp. 1194 - 1199
Main Author 伊藤, 真人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.09.2018
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.121.1194

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Summary:「1. はじめに」小児滲出性中耳炎は, 就学前に90%が一度は罹患する中耳疾患であり, 小児に難聴を引き起こす最大の原因である. 本邦ではこれまで, 諸家の間で小児滲出性中耳炎の診断や治療法など臨床管理の方法に幅があったことから, 「医療機関によって治療方針が全く異なっている」かのように受け止められがちな疾患であった. これを受けて, 2015年1月に日本耳科学会, 日本小児耳鼻咽喉科学会によって「小児滲出性中耳炎診療ガイドライン2015年版」が発刊された. これは本邦の小児滲出性中耳炎ガイドラインの初版であり, 欧米とは医療環境が異なる本邦の現状をふまえて, その実情に即した臨床管理の指針を示している. 「2. 小児滲出性中耳炎とは?」滲出性中耳炎は, "鼓膜に穿孔がなく, 中耳腔に貯留液をもたらし難聴の原因となるが, 急性炎症症状すなわち耳痛や発熱のない中耳炎"と定義される. すなわち急性炎症を伴わず中耳に貯留液を認める状態である.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.121.1194