試作舌圧測定システムを用いた嚥下時口蓋部舌圧の評価

「緒言」今日, 高齢者の摂食, 嚥下障害は, 我々歯科領域においても大きな問題となっており, 加齢による喉頭低下に伴う嚥下運動第一相の口腔期の延長や舌の送り込み能力の低下がその原因の一つと考えられている1). また, 高齢者の誤嚥性肺炎の要因としても指摘されている2, 3). 歯科補綴学領域では, 嚥下障害を有する患者の舌機能低下を補助する目的から, 舌接触を可能にする嚥下補助装置(PAP)を製作しており, 臨床上非常に有用であると思われる4). 嚥下の開始は, 舌が口蓋部に接触することにより生じ, 嚥下時には口蓋部が舌圧により圧迫される. しかしながら, PAP製作に当たって, 口蓋部にどの...

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Published in九州歯科学会雑誌 Vol. 58; no. 1; pp. 8 - 14
Main Authors 柿川, 宏, 槙原, 絵理, 鱒見, 進一, 小園, 凱夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州歯科学会 2004
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ISSN0368-6833
1880-8719
DOI10.2504/kds.58.8_1

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Summary:「緒言」今日, 高齢者の摂食, 嚥下障害は, 我々歯科領域においても大きな問題となっており, 加齢による喉頭低下に伴う嚥下運動第一相の口腔期の延長や舌の送り込み能力の低下がその原因の一つと考えられている1). また, 高齢者の誤嚥性肺炎の要因としても指摘されている2, 3). 歯科補綴学領域では, 嚥下障害を有する患者の舌機能低下を補助する目的から, 舌接触を可能にする嚥下補助装置(PAP)を製作しており, 臨床上非常に有用であると思われる4). 嚥下の開始は, 舌が口蓋部に接触することにより生じ, 嚥下時には口蓋部が舌圧により圧迫される. しかしながら, PAP製作に当たって, 口蓋部にどの程度の厚みを付与すれば十分であるか, また, どの程度の大きさが適切なのかなどについて臨床的経験に委ねられており曖昧な部分が多い. 本研究の目的は, 成人の正常有歯顎者における口蓋部の嚥下時舌圧を測定し, 嚥下に必要な口蓋部舌圧の標準値を算出し, 舌機能評価の一助として利用することにある. 本稿では, 口蓋部舌圧測定のためのシステムを構築したのでその概要について報告するとともに, 摂食嚥下障害を有さない正常有歯顎者3名に対し, 本システムを用いて唾液嚥下時における口蓋部舌圧測定を行い, その結果について検討したので併せて報告する.
ISSN:0368-6833
1880-8719
DOI:10.2504/kds.58.8_1