大腿骨頚部不顕性骨折に対する検討
「はじめに」近年, MRIなどの診断技術の進歩から以前では診断ができなかった病態が明らかとなってきている. 単純レントゲンでは診断できず, MRIにより初めて診断される, いわゆる不顕性骨折についての報告が股関節周囲にも最近散見されるようになった. 今回, 我々は8例の大腿骨近位部不顕性骨折を経験したので報告する. 対象及び方法 2001年1月1日から2003年8月31日までの間に小児以外で外傷後に股関節痛を訴え受診した患者のうち, 単純レントゲンにて骨折を認めず, MRI撮影を行った患者は14例. その内, MRIにて骨折と診断した8例を対象とした. 尚, 不顕性骨折の頻度は当院での全大腿骨...
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Published in | 整形外科と災害外科 Vol. 53; no. 3; pp. 655 - 658 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
西日本整形・災害外科学会
2004
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Subjects | |
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Summary: | 「はじめに」近年, MRIなどの診断技術の進歩から以前では診断ができなかった病態が明らかとなってきている. 単純レントゲンでは診断できず, MRIにより初めて診断される, いわゆる不顕性骨折についての報告が股関節周囲にも最近散見されるようになった. 今回, 我々は8例の大腿骨近位部不顕性骨折を経験したので報告する. 対象及び方法 2001年1月1日から2003年8月31日までの間に小児以外で外傷後に股関節痛を訴え受診した患者のうち, 単純レントゲンにて骨折を認めず, MRI撮影を行った患者は14例. その内, MRIにて骨折と診断した8例を対象とした. 尚, 不顕性骨折の頻度は当院での全大腿骨近位部骨折の5%で, 外傷後に股関節痛を有した患者の57%を占めていた. 使用したMRIは2002年3月までは日立社製MRT20, 0.2Tを, 2002年4月よりシーメンス社製symphony, 1.5Tを使用した. 原則的にcoronal及びaxial像の2方向撮影を行った. 結果 全例女性で年齢は33歳から93歳, 平均77.0歳. 部位は頚部3例, 大転子部3例, 転子部1例で, 受傷原因は殆どが歩行中の転倒によるものであった. 診察上, 股関節内外旋時痛を全例に認めた. 歩行状態は受傷後すぐに不能であった例が6例. 受傷からMRI撮影までの期間は平均4.1日, 病変部はT1ですべてがlowを呈した. |
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ISSN: | 0037-1033 1349-4333 |
DOI: | 10.5035/nishiseisai.53.655 |