高齢になって診断されたアルカプトン尿症の1例

「はじめに」アルカプトン尿症は, ホモゲンチジン酸酸化酵素の先天性欠損により, ホモゲンチジン酸の体内貯留をきたし, 黒色尿, コラーゲンへのホモゲンチジン酸沈着による軟骨, 皮膚, 眼の強膜の黒色化, すなわちochronosisを呈する常染色体劣性遺伝疾患として知られている. 1859年にBoedekerにより初めて報告され1), 発生率は100万人に2~5人5)といわれるまれな疾患である. 臨床所見として尿の黒変, 軟骨及び他の結合織の色素沈着, そして年長者ではほとんど必発する関節症が特徴である. 今回我々は, 右変形性肩関節症の61歳の女性に対して人工肩関節置換術を施行し, 術中所見...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 51; no. 3; pp. 629 - 633
Main Authors 斉田, 光, 緑川, 孝二, 柴田, 陽三, 本荘, 憲昭, 内藤, 正俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2002
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.51.629

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Summary:「はじめに」アルカプトン尿症は, ホモゲンチジン酸酸化酵素の先天性欠損により, ホモゲンチジン酸の体内貯留をきたし, 黒色尿, コラーゲンへのホモゲンチジン酸沈着による軟骨, 皮膚, 眼の強膜の黒色化, すなわちochronosisを呈する常染色体劣性遺伝疾患として知られている. 1859年にBoedekerにより初めて報告され1), 発生率は100万人に2~5人5)といわれるまれな疾患である. 臨床所見として尿の黒変, 軟骨及び他の結合織の色素沈着, そして年長者ではほとんど必発する関節症が特徴である. 今回我々は, 右変形性肩関節症の61歳の女性に対して人工肩関節置換術を施行し, 術中所見にてアルカプトン尿症を疑い, その後確定診断に至った症例を経験したので報告する. 症例:61歳 女性 主訴:両肩痛, 腰痛, 頸部痛 現病歴:2000年11月頃より, 特に誘因なく右肩痛出現徐々に疼痛増強したため, 某医を受診. 両変形性肩関節症の診断のもとに物療を行われるも症状の改善なく, 2001年3月2日当科紹介受診となる. 既往歴:1969年に子宮筋腫の手術, 1997年に腰椎椎間板ヘルニアの手術の既往がある.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.51.629