食道閉鎖症を合併した下部尿路閉塞性疾患による腎障害症例
要旨 下部尿路閉塞性疾患と食道閉鎖症を合併し,妊娠後期まで羊水過少を認めなかった症例を経験した。症例は1歳男児,在胎21 週に高度の両側水腎水尿管症および膀胱拡張を認め下部尿路閉塞性疾患が疑われていたが,羊水量が保たれていたため経過観察されていた。在胎36週から羊水過少を認め,在胎37 週に分娩誘発し出生となった。出生後に食道閉鎖症が判明し,尿道口はピンホール状で尿道低形成が疑われた。出生後の画像検査で高度の両側水腎水尿管と膀胱尿管逆流を認め,右腎機能は喪失していた。腎尿路奇形を有する胎児において羊水過少は腎機能低下を示唆し,妊娠中断の指標の一つとなる。本症例では食道閉鎖症を合併し羊水減少の時...
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Published in | 日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 28; no. 2; pp. 164 - 168 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
2015
日本小児腎臓病学会 |
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Summary: | 要旨 下部尿路閉塞性疾患と食道閉鎖症を合併し,妊娠後期まで羊水過少を認めなかった症例を経験した。症例は1歳男児,在胎21 週に高度の両側水腎水尿管症および膀胱拡張を認め下部尿路閉塞性疾患が疑われていたが,羊水量が保たれていたため経過観察されていた。在胎36週から羊水過少を認め,在胎37 週に分娩誘発し出生となった。出生後に食道閉鎖症が判明し,尿道口はピンホール状で尿道低形成が疑われた。出生後の画像検査で高度の両側水腎水尿管と膀胱尿管逆流を認め,右腎機能は喪失していた。腎尿路奇形を有する胎児において羊水過少は腎機能低下を示唆し,妊娠中断の指標の一つとなる。本症例では食道閉鎖症を合併し羊水減少の時期が遅れ,適切な妊娠中断の時期を逸したために腎障害が進行した可能性がある。下部尿路閉塞性疾患の可能性のある胎児の腎機能を羊水量で判断する際は,食道閉鎖症などの消化管閉鎖疾患の合併にも留意すべきである。 |
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ISSN: | 0915-2245 1881-3933 |
DOI: | 10.3165/jjpn.cr.2015.0059 |