棘突起正中縦割法を用い摘出した頚椎硬膜内髄外腫瘍の1例

頚椎部の脊髄腫瘍摘出においては,椎弓切除術によるアプローチが多用されてきた.今回我々は,棘突起正中縦割法による脊柱管拡大術を併用し,頚椎硬膜内髄外腫瘍を摘出した1例を経験したので報告する.(症例)63歳女性.平成18年12月より両手の疼痛・しびれが出現し,その後増悪.平成19年1月,近医より頚髄症の疑いで当科紹介.左上肢に知覚低下,両手掌に異常知覚および巧緻運動障害を認めた.MRIにて,C4レベル硬膜内髄外に頭尾径20mmの境界明瞭な,T1低信号,T2高信号,強い造影効果を示す腫瘤を認めた.手術では棘突起正中縦割法にて硬膜を展開し,腫瘍にアプローチした.術後の病理組織診断は,神経鞘腫であった....

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 57; no. 2; pp. 205 - 210
Main Authors 岡本, 重敏, 嘉村, 聡志, 寺田, 和正, 宮原, 寿明, 宮崎, 清, 小原, 伸夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2008
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.57.205

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Summary:頚椎部の脊髄腫瘍摘出においては,椎弓切除術によるアプローチが多用されてきた.今回我々は,棘突起正中縦割法による脊柱管拡大術を併用し,頚椎硬膜内髄外腫瘍を摘出した1例を経験したので報告する.(症例)63歳女性.平成18年12月より両手の疼痛・しびれが出現し,その後増悪.平成19年1月,近医より頚髄症の疑いで当科紹介.左上肢に知覚低下,両手掌に異常知覚および巧緻運動障害を認めた.MRIにて,C4レベル硬膜内髄外に頭尾径20mmの境界明瞭な,T1低信号,T2高信号,強い造影効果を示す腫瘤を認めた.手術では棘突起正中縦割法にて硬膜を展開し,腫瘍にアプローチした.術後の病理組織診断は,神経鞘腫であった.頚椎部脊髄腫瘍を摘出する際,硬膜管外側までの十分な視野の確保および後方要素を温存することによる支持性の確保という点で,棘突起縦割法の併用は有用と考える.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.57.205