胸髄に多発した脊髄くも膜嚢腫の1例

歩行障害により発症した脊髄くも膜嚢腫の1例を経験したので報告する.症例は59歳,女性.2ヶ月前より痙性歩行,下肢脱力,歩行障害が出現したため当センター入院となる.58歳時に小脳橋角部くも膜嚢腫手術の既往があった.著明な痙性歩行.Th12以下で痛覚,触覚は低下し,両第1足趾の位置覚は消失.両下肢腱反射は亢進.左下肢筋力に低下を認めた.CTMでは左Th8/9,9/10レベルでの脊髄の圧迫が著明であった.この症例に対しTh8-10椎弓切除術,嚢腫摘出術,経くも膜下腔的嚢腫壁開放術,くも膜下腔―くも膜下腔bypass術を施行した.術後は筋力,下肢の位置覚共に回復し,独歩可能となった.くも膜嚢腫の発生に...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 57; no. 1; pp. 106 - 109
Main Authors 植田, 尊善, 加治, 浩三, 森, 英治, 河野, 修, 久保, 勝裕, 芝, 啓一郎, 弓削, 至
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2008
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.57.106

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Summary:歩行障害により発症した脊髄くも膜嚢腫の1例を経験したので報告する.症例は59歳,女性.2ヶ月前より痙性歩行,下肢脱力,歩行障害が出現したため当センター入院となる.58歳時に小脳橋角部くも膜嚢腫手術の既往があった.著明な痙性歩行.Th12以下で痛覚,触覚は低下し,両第1足趾の位置覚は消失.両下肢腱反射は亢進.左下肢筋力に低下を認めた.CTMでは左Th8/9,9/10レベルでの脊髄の圧迫が著明であった.この症例に対しTh8-10椎弓切除術,嚢腫摘出術,経くも膜下腔的嚢腫壁開放術,くも膜下腔―くも膜下腔bypass術を施行した.術後は筋力,下肢の位置覚共に回復し,独歩可能となった.くも膜嚢腫の発生には何らかの先天性素因の関与が示唆された.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.57.106