当院における大腿骨近位部骨折パスの有用性

【目的】当院では,2009年3月より大腿骨近位部骨折に対して電子パスを用い,治療方針の標準化・医療の質の向上を図っている.その具体例として今回,DVT/PE予防にどのように関わっているかを検討した.【対象と方法】電子パス運用開始後の大腿骨近位部骨折手術例53例と運用開始前53例を対象とした.これら2群の抗血栓薬の使用状況,術後7日目のD-dimer測定状況を比較した.また,抗血栓薬使用のあり群と群で分けて術後7日目のD-dimer値,術後DVT/PEの発症数を比較した.【結果】血栓予防薬の使用状況は電子パス運用前26.4%,電子パス運用例81.1%であった.術後7日目のD-dimer値は電子パ...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 60; no. 3; pp. 491 - 494
Main Authors 泉, 政寛, 野口, 康男, 力丸, 俊一, 佛坂, 俊輔, 前, 隆男, 佐々木, 宏介, 井口, 貴裕, 白木, 誠, 永野, 賢, 久保, 祐介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2011
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Summary:【目的】当院では,2009年3月より大腿骨近位部骨折に対して電子パスを用い,治療方針の標準化・医療の質の向上を図っている.その具体例として今回,DVT/PE予防にどのように関わっているかを検討した.【対象と方法】電子パス運用開始後の大腿骨近位部骨折手術例53例と運用開始前53例を対象とした.これら2群の抗血栓薬の使用状況,術後7日目のD-dimer測定状況を比較した.また,抗血栓薬使用のあり群と群で分けて術後7日目のD-dimer値,術後DVT/PEの発症数を比較した.【結果】血栓予防薬の使用状況は電子パス運用前26.4%,電子パス運用例81.1%であった.術後7日目のD-dimer値は電子パス運用前では88.7%,電子パス運用例では96.2%で測定されていた.血栓予防薬使用群のD-dimer値は8.10でDVT/PEは認めなかった.一方,血栓予防薬非使用群のD-dimer値は10.75でDVT/PEを5例認めた.【結論】電子パスを運用することで薬剤使用の標準化が図られ,DVT/PE発生の予防に効果があった.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.60.491