化学放射線同時併用療法に伴う経鼻胃管留置が喉頭壊死の一因と考えられた下咽頭癌の1例

下咽頭梨状窩癌cT4bN2cM0に対して化学放射線同時併用療法 (concurrent chemoradiotherapy, 以下CRT) を開始した. 粘膜炎に伴う嚥下障害に対して経鼻胃管を留置した. 輪状後部への物理的圧迫が誘因となったと思われる喉頭壊死を来した. そのため, 喉頭摘出を余儀なくされた. 経鼻胃管の物理的圧迫が誘因と考えられた喉頭壊死のまれな1例を経験した. 粘膜炎に伴う経口摂取不良のため, 経鼻胃管の留置期間は約2カ月におよび, 粘膜炎の合併とともに喉頭壊死を来すには十分な期間であったと考えられる. 当科でのCRTではこのような合併症を避ける意味でも治療前に胃瘻造設を行う...

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 116; no. 9; pp. 1041 - 1045
Main Authors 北村, 貴裕, 山本, 佳史, 富山, 要一郎, 喜井, 正士, 竹中, 幸則, 猪原, 秀典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.09.2013
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.116.1041

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Summary:下咽頭梨状窩癌cT4bN2cM0に対して化学放射線同時併用療法 (concurrent chemoradiotherapy, 以下CRT) を開始した. 粘膜炎に伴う嚥下障害に対して経鼻胃管を留置した. 輪状後部への物理的圧迫が誘因となったと思われる喉頭壊死を来した. そのため, 喉頭摘出を余儀なくされた. 経鼻胃管の物理的圧迫が誘因と考えられた喉頭壊死のまれな1例を経験した. 粘膜炎に伴う経口摂取不良のため, 経鼻胃管の留置期間は約2カ月におよび, 粘膜炎の合併とともに喉頭壊死を来すには十分な期間であったと考えられる. 当科でのCRTではこのような合併症を避ける意味でも治療前に胃瘻造設を行うほうがよいと考える.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.116.1041