脳梗塞におけるGDNF産生ヒト骨髄間葉系幹細胞の経静脈的移植による治療効果の検討

【目的】脳梗塞に対する幹細胞移植療法は, 世界的に精力的な研究が行われている. 我々は, ヒト骨髄間葉系幹細胞(hMSC)を脳梗塞モデルラットに経静脈的に投与すると, 梗塞巣の縮小化や神経機能の改善が認められることを報告してきた, 治療効果のメカニズムの一つとして, 神経保護作用が重要と考えられている. 今回, hMSC移植による治療効果を更に高めるため, グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)を強制発現する遺伝子組み換えヒト骨髄間葉系幹細胞(GDNF-hMSC)を作成し, 脳梗塞モデルラットへ経静脈的に投与し, その治療効果を検討した. 【方法】Intraluminal thread met...

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Published in脳卒中 Vol. 28; no. 4; p. 612
Main Authors 本望, 修, 寶金, 清博, 原田, 邦明, 濱田, 洋文, 堀田, 祥史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2006
日本脳卒中学会
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.28.612

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Summary:【目的】脳梗塞に対する幹細胞移植療法は, 世界的に精力的な研究が行われている. 我々は, ヒト骨髄間葉系幹細胞(hMSC)を脳梗塞モデルラットに経静脈的に投与すると, 梗塞巣の縮小化や神経機能の改善が認められることを報告してきた, 治療効果のメカニズムの一つとして, 神経保護作用が重要と考えられている. 今回, hMSC移植による治療効果を更に高めるため, グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)を強制発現する遺伝子組み換えヒト骨髄間葉系幹細胞(GDNF-hMSC)を作成し, 脳梗塞モデルラットへ経静脈的に投与し, その治療効果を検討した. 【方法】Intraluminal thread methodを用いて, ラット中大脳動脈永久閉塞モデルを作成した. GDNF遺伝子の導入は, fiber-mutant adenovirus vectorを用いて行った. 脳梗塞作成3時間後に, hMSCおよびGDNF-hMSCを経静脈的に投与した. 治療効果は画像診断学的(動物実験用高磁場MRI), 組織学的, 行動学的に検討した. 【結果】Adenovirus vectorを用いてGDNF遺伝子を導入することで, GDNF産生量をより増加させることができた. 移植細胞は脳梗塞巣周囲に集積していた. 病変部のGDNF濃度は, hMSC移植群において有意に高値を示したが, GDNF-hMSC移植群では更に上昇していた. hMSC移植群でみられた脳梗塞の縮小と運動機能の改善効果は, GDNF-hMSC移植群で, 更に著明に認められた. 【結語】脳梗塞に対するGDNF産生ヒト骨髄間葉系幹細胞の経静脈的移植は. 有望な治療戦略となる可能性があると考えられ, 今後, 更なる検討が必要と思われた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.28.612