治療に難渋した小児肘化膿性関節炎の1例

初期治療で感染を鎮圧し得ず,治療に難渋した症例を経験したので報告する.症例は10歳男児.術前のMRIで骨幹端部に骨髄炎の所見を認めなかったが,関節液貯留と上腕骨小頭側骨端線内に輝度変化部位を認めた.受診同日緊急手術施行した.滑膜炎は軽度で可及的に滑膜切除施行.術前MRIで骨端線内の輝度変化のある部位は同定できず,未処置とした.術中培養結果は黄色ブドウ球菌であった.術後再MRIで骨端線内の輝度変化部の拡大,骨髄炎の所見を認め,第35病日に関節包切除と上腕骨小頭側骨端線内の腐骨切除によって感染の鎮静化を得た.本症例は発症初期の時点でMRIにて骨端線内の輝度変化を認めており再手術時に骨端線部に腐骨が...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 60; no. 1; pp. 139 - 143
Main Authors 土田, 徹, 池田, 天史, 宮崎, 真一, 川添, 泰弘, 武藤, 和彦, 白石, 大偉輔, 舛田, 哲朗, 大山, 哲寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 2011
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ISSN0037-1033
1349-4333
DOI10.5035/nishiseisai.60.139

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Summary:初期治療で感染を鎮圧し得ず,治療に難渋した症例を経験したので報告する.症例は10歳男児.術前のMRIで骨幹端部に骨髄炎の所見を認めなかったが,関節液貯留と上腕骨小頭側骨端線内に輝度変化部位を認めた.受診同日緊急手術施行した.滑膜炎は軽度で可及的に滑膜切除施行.術前MRIで骨端線内の輝度変化のある部位は同定できず,未処置とした.術中培養結果は黄色ブドウ球菌であった.術後再MRIで骨端線内の輝度変化部の拡大,骨髄炎の所見を認め,第35病日に関節包切除と上腕骨小頭側骨端線内の腐骨切除によって感染の鎮静化を得た.本症例は発症初期の時点でMRIにて骨端線内の輝度変化を認めており再手術時に骨端線部に腐骨が存在していたことから骨端線部が感染源と考えられた.骨髄炎型の化膿性関節炎の場合,初期治療は通常の滑膜切除,洗浄では不十分となる可能性があると考えられた.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.60.139