涙嚢炎を契機に発症した眼窩内膿瘍例

眼窩感染症は, 局所の感染と膿瘍による圧排から眼窩内圧の上昇を起こし, 視力障害および眼球運動障害を起こすため, 視機能温存のために早期の診断と治療が必要な疾患である. 今回, 免疫抑制剤を服用中に涙嚢炎を契機に発症したと考えられた眼窩内膿瘍の症例を経験した. 症例は, 68歳女性, 左眼瞼腫脹, 左視力低下を主訴に当院を受診した. 副鼻腔CTで左眼窩内膿瘍を認め, 鼻内アプローチによる眼窩内膿瘍切開排膿術を施行し, 視機能障害などの後遺障害なく治癒した. 眼科との迅速かつ緊密な連携が必要であり, 視機能の低下を認めた場合には, 早期の外科的介入に踏み切るべきである....

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Published in日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 120; no. 5; pp. 722 - 726
Main Authors 小林, 茉莉子, 折舘, 伸彦, 塩野, 理, 矢吹, 健一郎, 高橋, 優宏, 須藤, 七生, 西村, 剛志, 百束, 紘, 佐野, 大佑
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会 20.05.2017
日本耳鼻咽喉科学会
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ISSN0030-6622
1883-0854
DOI10.3950/jibiinkoka.120.722

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Summary:眼窩感染症は, 局所の感染と膿瘍による圧排から眼窩内圧の上昇を起こし, 視力障害および眼球運動障害を起こすため, 視機能温存のために早期の診断と治療が必要な疾患である. 今回, 免疫抑制剤を服用中に涙嚢炎を契機に発症したと考えられた眼窩内膿瘍の症例を経験した. 症例は, 68歳女性, 左眼瞼腫脹, 左視力低下を主訴に当院を受診した. 副鼻腔CTで左眼窩内膿瘍を認め, 鼻内アプローチによる眼窩内膿瘍切開排膿術を施行し, 視機能障害などの後遺障害なく治癒した. 眼科との迅速かつ緊密な連携が必要であり, 視機能の低下を認めた場合には, 早期の外科的介入に踏み切るべきである.
ISSN:0030-6622
1883-0854
DOI:10.3950/jibiinkoka.120.722