咽後膿瘍と鑑別を要した石灰沈着性頸長筋腱炎の3例
石灰沈着性頸長筋腱炎は, 急激な頸部痛, 嚥下時痛, 頸部の運動制限などを来す頸長筋の急性炎症である. 予後は良好だが比較的まれな疾患で, 臨床症状や局所所見が咽後膿瘍など重篤な疾患と類似し診断に苦慮することもある. われわれが経験した1例目は本疾患を考慮しておらず結核性膿瘍や髄膜炎を疑い骨髄穿刺等を施行し, 2例目は本疾患を疑いつつも糖尿病の合併があり細菌性咽後膿瘍の鑑別に全身麻酔下に試験的切開術を行った. 3例目は本疾患を強く疑い外来通院で内服薬にて軽快した. 本疾患は頸部 CT で環軸椎前方の石灰化像が特徴的であり, 咽頭後壁に低吸収域を認めても周囲に造影効果を伴わないことで咽後膿瘍...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 119; no. 7; pp. 955 - 961 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
20.07.2016
日本耳鼻咽喉科学会 |
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Summary: | 石灰沈着性頸長筋腱炎は, 急激な頸部痛, 嚥下時痛, 頸部の運動制限などを来す頸長筋の急性炎症である. 予後は良好だが比較的まれな疾患で, 臨床症状や局所所見が咽後膿瘍など重篤な疾患と類似し診断に苦慮することもある. われわれが経験した1例目は本疾患を考慮しておらず結核性膿瘍や髄膜炎を疑い骨髄穿刺等を施行し, 2例目は本疾患を疑いつつも糖尿病の合併があり細菌性咽後膿瘍の鑑別に全身麻酔下に試験的切開術を行った. 3例目は本疾患を強く疑い外来通院で内服薬にて軽快した. 本疾患は頸部 CT で環軸椎前方の石灰化像が特徴的であり, 咽頭後壁に低吸収域を認めても周囲に造影効果を伴わないことで咽後膿瘍と鑑別することができる. |
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ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.119.955 |