大動脈疾患に対するステントグラフト治療

「I はじめに」従来, 大動脈瘤に対する外科的治療は, 人工血管を用いた置換手術がその中心であったが, 開腹や開胸を要すること, 病変部位によっては体外循環を必要とするなど, 本疾患の好発年齢である高齢者においては過侵襲である場合もしばしばあり, 低侵襲化が求められてきた. 血管内挿型人工血管(ステントグラフト)を用いた血管内手術(ステントグラフト内挿術)は, 近年その低侵襲性が注目され急速に広がった治療法であり, これまで手術不可能とされた重篤な基礎疾患を持つ高齢者も治療の恩恵にあずかることができるようになった一方, 中・長期成績が明らかになるに伴い, 様々な晩期障害が報告されるようになった...

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Published in信州医学雑誌 Vol. 69; no. 5; pp. 335 - 338
Main Author 和田, 有子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 信州医学会 10.10.2021
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ISSN0037-3826
1884-6580
DOI10.11441/shinshumedj.69.335

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Summary:「I はじめに」従来, 大動脈瘤に対する外科的治療は, 人工血管を用いた置換手術がその中心であったが, 開腹や開胸を要すること, 病変部位によっては体外循環を必要とするなど, 本疾患の好発年齢である高齢者においては過侵襲である場合もしばしばあり, 低侵襲化が求められてきた. 血管内挿型人工血管(ステントグラフト)を用いた血管内手術(ステントグラフト内挿術)は, 近年その低侵襲性が注目され急速に広がった治療法であり, これまで手術不可能とされた重篤な基礎疾患を持つ高齢者も治療の恩恵にあずかることができるようになった一方, 中・長期成績が明らかになるに伴い, 様々な晩期障害が報告されるようになった. 機器の不具合など新規デバイスの開発にはつきものと考えられる合併症に加え, これまで予想されていなかった複雑な生体反応が明らかになり, ステントグラフト治療は新しい局面にさしかかろうとしている.
ISSN:0037-3826
1884-6580
DOI:10.11441/shinshumedj.69.335